「本来なるべき人」まで、なりたがらない不幸

女性が管理職になることにためらいを感じていることの主な原因は、環境やイメージなどの「女性の外側にある問題」だと考えて、たぶん間違いありません(ここでは「外的問題」と呼ぶことにします)。

では、これだけで、「ためらい」が説明しきれるかといえば、事はそんなに簡単ではない気がします。外的問題の陰になってわかりにくいのですが、女性特有の「内的問題」、つまり心理というか思考の傾向というか、そうしたものもまた、「なりたくない」と考える人の比率を高めているように思えるのです。

そうした内的問題によって「本来は管理職になるべき人」まで、「なりたくない」と考えるようになっているとしたら、本人にとっても会社にとっても、大変不幸なことです。

「明確なメリットが見えにくい変化」には警戒心を抱く

では、女性の気持ちを、必要以上に「なりたくない」に傾かせてしまう「内的問題」、別の表現でいえば「思考(心理)の傾向」とは、どのようなものなのでしょうか。

個人差もあり、一概にはいえませんが、女性は、男性と比較して、「明確なメリットが見えにくい変化」に対して警戒心が強いように思われます。大昔から、家を守る役割を担ってきた女性たちが、そういう思考傾向を持つに至ったとして、そこに何の不思議もありません。

こうした思考傾向は、キャリア選択のような、人生の岐路となる大きな局面でとくに顕著にあらわれ、必要以上に堅実な方向、つまり「変化を避ける」という方向へと思考を傾けやすくします。

本来、キャリア選択は、自己の能力や価値観などを踏まえて、自由に、広い視野で行う必要がありますが、「明確なメリットが見えにくい変化」への警戒心が強いと、未体験のキャリアはほぼ選択肢にならず、メリットを熟知した「既体験の仕事」という、変化度の低い、狭い範囲のキャリアだけが選択肢として残ることになります。つまり「変化を避ける選択」がなされてしまうのです。

まして、メリットよりもデメリットのほうが目立ってしまう管理職であれば、警戒心は強まりやすく、「なりたくない」という気持ちになるのは当然といえば当然です。

状況は変わる。冷静かつ自由に、悔いのない選択を

いまのところ、こうした思考傾向の存在は、あくまで個人的な仮説にすぎません。

しかし、「人生の岐路」という、キャリア選択の重要性を念頭に置けば、仮説を頭に入れておくことには、十分に意義があると考えます(個々の女性だけでなく、企業の女性活躍の推進担当者などにも知っていただきたいと思います)。

本来は、管理職としての適性があるにもかかわらず、「明確なメリットが見えにくい変化」への警戒心で、その可能性を否定してしまう。それがその人を幸福にするとは、とうてい思えないのです。