4. 新型コロナウイルスの数学的・感染の止め方
【横山】新型コロナウイルス感染症が国内で確認されて、1年が過ぎました。ワクチンや治療薬の開発は進んだものの、まだまだ心配な状況が続いています。
【ライターS】それにしてもコロナにはデータ的情報がたくさんありますね。毎日気になる新規感染者数、PCR検査数、死亡者数、陽性率、病床使用率、街の人出……。
【横山】コロナを「正しく恐れる」ためにも数学は役に立ちます!
【ライターS】確かに、感染防止のため人との接触を8割減らすことを求めた「8割おじさん」こと西浦教授のメッセージには説得力がありました。
【横山】図のような感染拡大状況を「指数関数的増加」と言います。その式は「aのx乗」で、これを指数関数と呼び、「x」が指数です。わかりますか?
【ライターS】倍、倍で増えている!
【横山】1人が2人にうつしたら(a=2の場合なら)、1人から2人、2人から4人、4人から8人と、次の新たな感染者は2のx乗ずつ増えていくのです。
【ライターS】何もしなければコロナ感染者はどんどん増えていき、時間がたつほど感染拡大を封じ込めるのが難しくなるのが、図を見るとよくわかりますね。
【横山】そこで感染者を早期に発見し、治療、療養することで感染をストップさせることが大事。でもこれは感染経路を追えている状況のときに有効なのですが……。
【ライターS】どこでコロナにうつったのかわからない人が大勢いて、しかも無症状。私だって知らないうちにウイルスを振りまいているかもしれないですよね。
【横山】そこで、人との接触を減らすことで、自分が感染しない・させない立場になることが大事。私も子どもたちへの授業や大人向けセミナーがリモートになりました。
【ライターS】「ステイホーム」で感染の連鎖を断ち切るというのが腑に落ちました。このような数学的根拠を広めれば、若者にもわかりやすいのに!
【横山】コロナ関係のいくつかは数学で説明できることがあります。今後、私は小・中学生にもわかるウイルスとの向き合い方を、教材として学校現場へ届けたいです。
【ライターS】コロナ対策は場当たり的に動くのではなく、データに基づく根拠が必要だと思います。ぜひ、数学の視点から情報を発信し、ウイルスを撃退してください!
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構成=坂本君子 イラスト=オオノマサフミ
早稲田大学大学院数学応用数理専攻修了。幼児から大人まで幅広く、数学・算数の楽しさを伝える「数学のお兄さん」として活動。「日本お笑い数学協会」副会長。著書・共著書に『笑う数学』(KADOKAWA)、『算数脳をつくるかずそろえ計算カードパズル』(幻冬舎)、『文系もハマる数学』(青春出版社)など。