いくら考えても答えが出ない疑問ってありますよね。そんなときはキッチリ答えの出る数学で気分をスッキリさせましょう!

1. 人生のうちで働く時間は思うより長くない

【ライターS】こんにちは! 編集プロダクション勤務のライターSと申します。きょうは数学のお兄さんが日常のギモンを数学で解決してくれると聞いてやってきました。

【横山】数学には「ストン! と腑に落ちるような納得感」と、「わかった! という感動」があるので、きょうはそれを感じてくれるとうれしいです。

【ライターS】突然ですが、私、もう、働きたくないんですけど。

【横山】いきなりヘビーなお話ですね(汗)。では、人生で働く時間の計算から始めましょうか。図のように1日のうち働くために使う時間を12時間で計算すると……。

【ライターS】1年間で働かない日が134日とは、けっこう休んでいるものですね。1年間で仕事をする時間は2772時間ですか! そのように考えたことありませんでした。

【横山】人生を90年と考えたら、一生で働く時間の割合は15%と出ました。応用問題として、睡眠時間を引いて計算しても、働く時間の割合は22%ですよ。

【ライターS】意外と短い。もっと働きたくなってきましたぁ!

【横山】15%って約7分の1だから、1週間のうち1日だけ働くイメージです。それくらいなら働きたくないなんて言わないで、明るく、楽しく、働きましょうよ。

人生のうちで働く時間を計算してみよう

2. 自分の時給は高い? それとも低い?

【横山】次にさまざまな人の時給を計算すると面白いですよ。公務員の給料は公表されている人もいますから。社長や部長の給料は、想像で計算するとして。

【ライターS】数学苦手の私でも、これなら電卓で計算できます。1年間で仕事をする時間は2772時間だから、菅総理大臣の時給は1万4607円、小池都知事は5314円と。

【横山】今、2人ともコロナで激務ですが、頑張ってほしいですね。私は総理大臣補佐官の時給8539円が気になりました。この人は責任の割には時給が低いなと。

【ライターS】私は……ひ、ひくい。

【横山】会社側からみると、社員に研修や社会保険、働くための経費など給料の倍ぐらいはかけています。だから最低でも給料の3倍は働いてもらわないと……。

【ライターS】社長の時給はともかくとして、同じ1時間の会議に出ている上司と私の時給の差って何? 私のほうがずっと仕事をこなしているのに。

【横山】まあ、まあ、そこはおさえて。私は広告代理店勤務の経験もありますが、大きな案件を獲得したとき、その売り上げは瞬間風速で時給5万円はあったと思います。

【ライターS】営業職なら1時間当たりどれくらい売り上げがあるのか、会社への貢献度を計算するのも面白いですね。時給5万円の仕事はやりがいがあったことでしょう。

【横山】クライアントの要望に応え、会社を支え、仲間と力を合わせ、世の中に価値あるものを送り出す。“価値”という指標も大切にしてほしいです。

【ライターS】確かに、会社に在籍し、仕事で得た経験はお金に代えられない価値がある! 私の給料は横ばいだけれど、さまざまな経験を重ねたおかげで今の自分がいます。

【横山】私も独立したので、つい会社側の立場でお話ししてしまいました。スタッフが会社のことを考え、給料の何倍も働いてくれるからありがたいです。

【ライターS】時給計算してみると納得いかないけれど、会社は毎月、給料をくれるし、ありがたい存在ではありますね。もっと実力つけて、転職しちゃおうかしら。

【横山】おお~、時給アップのためにそれもアリですね。

【ライターS】上司がこれを読んでいたらまずい(汗)。まずはクオリティーは維持して、効率よく働き、残業を減らし、単価を上げることを目指します!

さまざまな人の時給を計算してみよう

3. お金持ちになりたければ複利で増やす

【ライターS】先生、私はぶっちゃけ、お金持ちになりたいのです。一獲千金を夢見て、年末ジャンボを毎年、よく当たる宝くじ売り場で買っています。

【横山】宝くじの還元率は46%しかないのに……。「この売り場から高額当選が出たから買う」というのも意味なし。1枚の当たる確率はどこで買っても同じだから。

【ライターS】夢ぐらい見させて……。

【横山】くじは期待値で計算できます。期待値とは、あることを試したとき、その結果として得られる数値の平均値のこと。くじなら還元率もセットですね。

【ライターS】いくら私でも、くじやギャンブルでお金持ちになれないことはわかっていますよ。「期待する」ことの数値化って、できるものなんですか?

【横山】はい。でも、期待値は必ずマイナスです。例えば、図は20人に1人1万円が当たり、20人に3人が4000円当たるくじで、1回2000円の参加料を払う問題です。

【ライターS】これは、参加料を払うのがポイントですよね。答えは期待値1100円、還元率55%ですか。くじ運のない私は当選者の4人の中に入れないと思う……。

【横山】ビジネスにあてはめると、2000円は投資額、1100円はリターン。実際はくじのように単純に数値化できないので、経営者は数値を予測して行動するしかないです。

【ライターS】なるほど。文系の私には確率的思考が欠けておりました。確かにジャンボ宝くじは1枚300円というリスクが見えているので大損は避けられますね。

【横山】お金持ちになりたければコツコツ複利が確実です!

【ライターS】図の計算では、元本の100万円を年10%で複利運用すると、7年間で約195万円と倍になっています。でも、年10%の利息は高すぎませんか?

【横山】預金でなくとも年10%ずつ昇給すれば、7年で倍になりますよ(笑)。複利計算は元本を増やせば、そこにつく利息も増えるという考えを理解してほしいです。

【ライターS】給料を年10%ずつ増やすのはムリだけど、超楽観文系的思考で、自分の能力を10%ずつスキルアップさせることはできるかもしれない。

【横山】そこは期待してます!

期待値と複利を理解しよう

4. 新型コロナウイルスの数学的・感染の止め方

【横山】新型コロナウイルス感染症が国内で確認されて、1年が過ぎました。ワクチンや治療薬の開発は進んだものの、まだまだ心配な状況が続いています。

【ライターS】それにしてもコロナにはデータ的情報がたくさんありますね。毎日気になる新規感染者数、PCR検査数、死亡者数、陽性率、病床使用率、街の人出……。

【横山】コロナを「正しく恐れる」ためにも数学は役に立ちます!

【ライターS】確かに、感染防止のため人との接触を8割減らすことを求めた「8割おじさん」こと西浦教授のメッセージには説得力がありました。

【横山】図のような感染拡大状況を「指数関数的増加」と言います。その式は「aのx乗」で、これを指数関数と呼び、「x」が指数です。わかりますか?

【ライターS】倍、倍で増えている!

【横山】1人が2人にうつしたら(a=2の場合なら)、1人から2人、2人から4人、4人から8人と、次の新たな感染者は2のx乗ずつ増えていくのです。

【ライターS】何もしなければコロナ感染者はどんどん増えていき、時間がたつほど感染拡大を封じ込めるのが難しくなるのが、図を見るとよくわかりますね。

【横山】そこで感染者を早期に発見し、治療、療養することで感染をストップさせることが大事。でもこれは感染経路を追えている状況のときに有効なのですが……。

【ライターS】どこでコロナにうつったのかわからない人が大勢いて、しかも無症状。私だって知らないうちにウイルスを振りまいているかもしれないですよね。

【横山】そこで、人との接触を減らすことで、自分が感染しない・させない立場になることが大事。私も子どもたちへの授業や大人向けセミナーがリモートになりました。

【ライターS】「ステイホーム」で感染の連鎖を断ち切るというのが腑に落ちました。このような数学的根拠を広めれば、若者にもわかりやすいのに!

【横山】コロナ関係のいくつかは数学で説明できることがあります。今後、私は小・中学生にもわかるウイルスとの向き合い方を、教材として学校現場へ届けたいです。

【ライターS】コロナ対策は場当たり的に動くのではなく、データに基づく根拠が必要だと思います。ぜひ、数学の視点から情報を発信し、ウイルスを撃退してください!

新型コロナ感染拡大とその対策

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