「鼻セレブ」「お~いお茶」……商品タイトルの変更で大ヒット

昭和から平成半ばにかけて、売上を大きく伸ばしたのは、おもにブランド名を「覚えやすい」「想起しやすい」名に変えた商品でした。

たとえば80年代の抗菌防臭靴下「通勤快足」(レナウン/「フレッシュライフ」から変更)や、世界初の缶入り緑茶「お~いお茶」(伊藤園/「缶入り煎茶」から変更)、2000年代の「鼻セレブ」(ネピア/「モイスチャーティシュ」から変更)など。

一方、平成後半~令和に入り、人気タイトルの傾向はSNS検索の「引っかかり」や「ツッコミやすさ」に移った。先の「これ絶対うまいやつ!」や、「湖池屋プライドポテト」(17年発売/湖池屋)などは、「本当に“うまい(美味しい)”の?」や「“プライド”ポテトって、ナニ?」などツッコミどころがあり、タイトル自体もSNSで話題にのぼりやすい。

「10年後に古くならないか?」との懸念はあれど、いまや数秒で認知されなければ手に取ってもらえない時代。「これ絶対うまいやつ!」は、あえて時流にのった奇抜なブランド名を付けたからこそ、成功した好例と言えるのではないでしょうか。

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター、世代・トレンド評論家、インフィニティ代表

立教大学大学院(MBA)客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか多数。これらを機に数々の流行語を広める。NHK総合『サタデーウオッチ9』ほか、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。