1日10杯のラーメンを食べ歩き

肝心の「味」については、19年7月以降の開発段階で「2、3カ月間、国道沿いのラーメン店を食べ歩いた」と、同マーケティング部の中村圭佑さん。開発担当者が二人組で出向き、多い日は1日10杯のラーメンを食べたため、「一時期は10キロぐらい太った」そう。

その甲斐あって、目指すべき味は、都心の名店(おもに駅前)に多い“繊細”な味とは違い、“くっきり、ハッキリ”した濃いめの味だと分かったとのこと。

そこで、麺にはフライ麺に比べてカロリー低めながら、ストレートでもコシがしっかりした「ノンフライ麺」を採用。スープは“くっきり、ハッキリ”を連想させる、パンチの効いた「背脂醤油」「濃厚味噌」「豚骨醤油」という3種の味を用意したこともあり、「『ほかの味はどんなだろう』と、2、3種の味を並買する方も多いんです」と中村さん。

代表的な喫食シーンは、小学校低学年ぐらいまでの子をもつ家族が、土曜や休日のお昼に「ラーメンでも食べようか」と手軽に作るような風景だといいます。

そもそも袋麺は、トッピングや調味料のひと工夫によって味に変化をつけやすいことから、子どもから大人まで幅広い世代が食べやすい食カテゴリー。資逸さんも子どものころ「学校帰りの土曜のお昼に、袋麺をよく食べた」とのこと。昭和生まれの筆者もそうでした。

チキンラーメン、ラ王との決定的な違い

対する平成後半以降は、少子化が進行。18歳未満の子がいる世帯(約23%)のうち、「一人っ子」世帯が約44%と、「子が二人」(約42%)をわずかに上回り、いまやニューファミリーでは「家族3人(子一人)」が多数派になったのです(17年「国民生活基礎調査」)。

そこで、昭和発売の「チキンラーメン」や、平成初期発売の「日清ラ王」での人気の5食パックとは違い、令和発売の「これ絶対うまいやつ!」は、3食パックに。

結果的に、メーカー希望小売価格は「95円程度/パック」となり、ラ王(111円程度/パック)などより、価格面でさらに手に取りやすくなったと言えるかもしれません。