若者言葉を商品名にするリスク
それにしても、気になるのは「これ絶対うまいやつ!」とのブランド名です。
一般に袋麺は、先の「チキンラーメン」や「ラ王」のように、ロングセラーとして長く売れ続けている商品が多い。
一方で、いわゆるイマドキの若者言葉をタイトルにすれば、たとえば「チョベリバ」(90年代半ばの流行語。「超ベリー・バッド」の略)や、「激おこぷんぷん丸」(2013年ごろの流行した語。「激怒している状態」の意)のように、数年後には「古い」「死語」などと言われてしまう可能性もある。
その辺りについて、開発段階で迷いはなかったのでしょうか?
「売場でパッと見て2、3秒でどういう商品なのかが分からないと、手にも取ってもらえない時代。若い世代をターゲットにするなら、分かりやすく親しみやすいブランドにしなければ認知されないと考えました」と資逸さん。
もちろん「SNSでの拡がりも意識した」とのこと。時代背景として、若い世代の「ググるよりタグる」の普及もあるようです。
ハッシュタグに使われている言葉は拡散されやすい
「ググるよりタグる」は、インスタグラムなどで「#(ハッシュタグ)」をフォローできるようになったころ(17年末)から顕著になった現象。
このころから若い世代を中心に、わざわざグーグルなどの検索エンジンで調べる(ググる)より、あらかじめフォローしておいたお気に入りのハッシュタグ(「#ラーメン」など)を基に調べるほうが、手間がかからないとの考え方が広がりました。
10~50代の男女に聞いたある調査(21年 ゼネラルリサーチ調べ)では、すでに5割以上が「情報収集などでSNSの検索機能を使う」と回答。また20歳前後の男性に「商品情報収集の際、何を参考にするか」を聞いた別の調査でも、「検索エンジン(グーグル、ヤフー等)」を使う割合は上から2番目にとどまり、1位は「ツイッター」、3位も2位とほぼ同率で「ユーチューブ」でした(20年「SHIBUYA109 lab.」調べ)。
つまり「これ絶対うまいやつ!」のように、SNSやユーチューブですでにハッシュタグに使われているような語は、発売当初から商品名が拡散、認知されやすいと考えられます。