イライラしないお母さんになりたい

共通のビジョンを作り上げ、そこに至るまでのこの一連のプロセスは、より良い夫婦関係を築いていくためのみならず、より良い親子関係を築いていくためにも有効です。

10年後、または20年後に、あなたとあなたのお子さんとの間に築き上げていたい関係性とはどんなものでしょうか? 頻繁に話していますか? お子さんはよく遊びにきますか? 一緒にいると楽しいですか? お互い尊敬し合い、大切に思っているでしょうか?

そして、このビジョンを念頭に置きつつ、今この瞬間に何をして、どんなことをお子さんに伝えれば20年後のビジョンにつながっていけるかを考えてみてください。将来のビジョン、またはインテンションを明確に持つことで、その明るい将来像が灯火となってあなたが今とるべき行動を導いてくれるのです。

実例:いつも子どもを叱ってしまう母親

ここで、ある女性プロフェッショナルの体験談をご紹介します。

彼女はワークショップを通じて自分がいつも子どもたちを叱ってばかりいることに気づきました。叱ってしまうのは、子どもたちに「いい子」でいてほしかったり、礼儀をわきまえてほしかったりするからです。すべては子どもたちのためを思ってのことだったのですが、彼女は基本的に叱ることでしか子どもたちとコミュニケーションを取っておらず、実際どのように楽しい親子関係を作れるかどうかについては考えたことがなかったことに気づいたそうです。

さらに、彼女はその思考を一歩進めて、子どもたちを叱るのは子どもたちのためではなく、実は自分のためだということに気づいたそうです。子どもたちが何か過ちをしでかしてしまったら、母親である私が批難されるのが怖いからこそ、子どもたちを叱っていたというのです。

彼女を含めた女性プロフェッショナルの方々とは、3カ月毎にお会いしています。その気づきを経て3カ月後、彼女に再度話を聞いたところ、子どもたちとの楽しい関係作りについて考えるようになってからは、親子関係が変わったと話してくれました。もっと遊ぶようになり、ふざけ合って一緒にいることをただ楽しむことが増えたそうです。それはわたしから見てもとても美しい変化でした。