生々しい感情との対峙

「人の振り見て我が振り直せ」という言葉には、なるほど、と思う。

「嫌いな人は鏡に映った自分」という言葉もある。「そんなことあるかな?」と思うし半信半疑ではあるけど、その人を見て嫌だと思う時に自分の心の何かが反応しているのは間違いない。

似た部分があるとしても、絶対に遠ざけたいと思うにしても、それを考えることは、自分の生々しい感情と対峙することに他ならない。

そこに痛みが伴うかもしれない。けれど、正体が見えて、輪郭をつけて、言葉にできたら楽になる。

そこからさらにユーモアに包むことで、壺に蓋をして「封印」の張り紙を貼ることができたような安心感が生まれる。

「こんな人がいてね」と、身近な人に伝えたら共感が生まれてもっと楽になれるかもしれない。

阿部 広太郎(あべ・こうたろう)
コピーライター、「企画でメシを食っていく」主宰

2008年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。「今でしょ!」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。