年金を増やす方法2.長く働く

基礎年金は原則60歳までしか加入することはできませんので、20歳から60歳までの40年間、月数で480カ月という加入期間の上限があります。ところが厚生年金にはこの上限がありません。60歳以降も働くことで、厚生年金に加入し続けることができます。もちろん原則は70歳までですが、そこまで働けば保険料を納めた期間が10年間増えます。

それによって将来受け取る年金がどれぐらい増えるかということですが、これは収入によって金額が変わってきます。およそ年間で10万~20万円程度は増えますから、できるだけ長く働くことで年金を増やすことは可能なのです。そもそも60歳で仕事を辞めてしまうというのは平均寿命が65~70歳の頃の話です。会社を辞めて人生の晩年の5年か10年を年金で暮らす、という時代だったからです。

今の女性の平均寿命は87.5歳と言われていますが、これはあくまでも平均寿命の話です。「寿命中位数」というデータがあります。これは同じ年に生まれた人の半数がまだ生存しているという年齢のことですが、それによると現在でも女性は90.2歳となっています。恐らく今40代や50代の人が90歳になる頃には寿命中位数は100歳近くになっているかもしれません。であるとすれば、今の時代なら70歳まで働くのもおおいにありでしょう。働ける内はできるだけ長く働いて年金を増やすということを考える時代になってきているのではないでしょうか。

年金を増やす方法3.夫婦共に厚生年金に入って働く

独身の人ではなく、パートナーが居るのであれば共働きをすること、それも両方が厚生年金に加入することです。よく「専業主婦は2億円損をする」と言われますが、これは生涯賃金で見た場合、共働きと片働きではそれぐらいの差が出てくるということを意味します。実際に、「労働政策研究・研修機構」というところが2019年に出した資料(※2)によれば、大卒で正規社員の場合の男性の生涯賃金は平均で約2億6000万円、女性の場合では約2億1700万円となっています。

退職後のお金について考える男女
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

これは生涯賃金だけの話ですが、年金の場合も大きな差が出てきます。妻がずっと専業主婦だった場合のモデル年金額は夫婦二人で月額約22万円ぐらいですが、単身の場合だと15万円程度になります。現在はまだ残念ながら女性の方が平均的な生涯賃金は少ないため、仮に年金支給額が妻の分が12万円だとすると夫婦合計で27万円となります。片働きと比べると月額で5万円増えるとすれば65歳から90歳までの累計金額では1500万円もの差がつきます。もし夫婦共に同じぐらいの給料で働いた場合、支給合計額は約30万円となり、専業主婦家庭に比べると月に8万円増えますから前述の累計金額ですとなんと2400万円もの差となります。やはり夫婦共働きは老後マネーを考える上でも最強の選択ということが言えそうです。

※2「ユースフル労働統計2019「(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)