Q. どの会社の新型コロナワクチンが一番効果がありますか?
A. ワクチンの薬事承認にあたっては、有効性や安全性を慎重に審査します。すでに承認を得ているワクチンや、今後承認を得るワクチンは、いずれも一定以上の効果があると認められたということになります。それぞれのワクチンで有効性の数字に違いが見られますが、試験の対象者や時期など条件も異なるので、ワクチンの有効性という点で数字の単純比較はできません。
Q. 新型コロナワクチンは製品によって、高齢者に効きやすい、効きにくいといった違いがあるのですか?
A. 日本で接種されているワクチン、今後承認され接種される予定のワクチンのうち、米ファイザー、米モデルナのワクチンの臨床試験では高齢者に対しても新型コロナウイルス感染症の予防効果があると確認されています。しかし英アストラゼネカのワクチンに関しては、臨床試験の際に高齢者の参加人数が少なく、十分な効果があるかどうかを実証することができませんでした。そのためアストラゼネカのワクチンの高齢者への接種については、各国で判断が分かれています(2021年3月現在)。
世界保健機関(WHO)は3社のワクチンに関して、いずれも高齢者にも十分な効果があるとしていますが、一部の国ではアストラゼネカのワクチンは高齢者を接種対象にしないことを発表しています。日本では、アストラゼネカのワクチンが国内で承認されれば他社のワクチンと同様に高齢者に対しても接種を行う予定ですが、念のため、65歳以上の人にはファイザーのワクチンを優先して使用するという考えも出てきています(2021年3月現在)。
Q. 子どもへの効果が確認されている新型コロナワクチンはありますか?
A. 日本で承認された米ファイザーの新型コロナワクチンは16歳以上が対象となっています。英アストラゼネカ、米モデルナ(※)の新型コロナワクチンは日本では未承認ですが、18歳以上に対して臨床試験が行われています。世界的にも、16歳未満の子どもに対して使用が認められた新型コロナワクチンはまだありません(2021年3月現在)。
※編集部注:米モデルナの新型コロナワクチンは、2021年5月に日本でも承認されています。
ただし接種対象の年齢がこのようになっているのは、まだ臨床試験の結果が出ていないためであり、子どもに対して新型コロナワクチンのリスクが特別に高いからではありません。多くの医薬品やワクチンと同様、新型コロナワクチンでも、まず成人を対象に効果や安全性を確認し、その後に対象の年齢層を下げて、有効量は成人と同じでよいのか、予期せぬ副反応がないかどうかなどに注意しながら試験が行われるのです。
現在、ファイザーは12~15歳を対象とする臨床試験を終了したところで、近く米国で承認申請するとみられます。モデルナは12~17歳、アストラゼネカは6~17歳を対象とする試験を実施中です。さらにファイザーとモデルナは6カ月~11歳を対象とする試験も開始しました。これらの試験結果で安全性や有効性が確認されれば、子どもにも接種対象が広がっていくでしょう。
日米で新型コロナ感染症の治療やワクチン接種に当たっている日本人医師ら10人。新型コロナワクチンに関する一般市民の不安や疑問を解決するため、SNSを通じて情報提供を行うプロジェクト「コロワくんの相談室」を手がける。代表を務める米国内科専門医の山田悠史氏は、慶應義塾大学医学部を卒業後、日本各地の病院の総合診療科に勤務。2015年からは米国ニューヨークのマウントサイナイ大学関連病院の内科に勤務しつつ、国内では全国の総合内科医の教育団体JHospitalist Network世話人やニュースメディアNewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)等として活躍中。