お金持ちがお金持ちを再生産する

私は「お金持ちがお金持ちを再生産する」と考えています。お金持ちは、日ごろの生活の中で、何も考えずにお金を使うとすぐになくなってしまうこと、無駄遣いをしてはいけないことを子どもに疑似体験させています。そのため、お金持ちの子どもはお金持ちになるケースが多いのです。

その結果、物欲のない親の下では、やはり物欲がない子どもが育つのではないでしょうか。もし、子どもが物を欲しがるのであれば、親の物欲が高い可能性が高いのです。

瓶に入れた硬貨を3代の手で包むように持っている
写真=iStock.com/ThitareeSarmkasat
※写真はイメージです

こんなエピソードを聞いたことがあります。Aさんは以前、親せき一同でヨーロッパ旅行に出かけたそうです。そのときAさんは、姪っ子に「記念に何か買ってあげるよ」と言いました。しかし姪っ子は「十分楽しいし、別に必要ないから……」と。

目の前にはスワロフスキーのアクセサリーなど、普通なら女の子があこがれるような商品がたくさん並んでいます。それでも興味を示さなかったのです。姪っ子の母親であるAさんの姉も物欲がないそうですが、姪っ子は輪をかけて物欲がなく、やはり親から子へ受け継がれていくものだと感じたといいます。

旅行にしてもレジャーランドにしても、行くと食事代やお土産代で相当な出費になるのが普通です。しかし、その場を楽しむ習慣ができていれば、出費を抑えることができます。観光地で買った土産は、後から考えてみると無駄になっていることが多いと思います。限られたお金を有効に使う習慣をつけることは大事です。

確定申告を教える学校が登場

日本では親世代が金銭教育を受けていないので、子どもにお金のことを教えるのは難しい面がありますが、せめてお小遣いの渡し方は考えた方がいいでしょう。

日本では金銭教育というと、投資の話が先行してしまいますが、その前に家計管理や税金や社会保険などの仕組みなどを教えるべきだと思います。ただ最近は音楽大学でも確定申告の授業があるなど、徐々に学校教育に取り入れられています。それはとてもいいことだと思います。

構成=向山 勇

藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー

生活デザイン代表取締役社長。自動車会社で燃料電池自動車の研究に携わった後、FPに転身。家計の個人相談の普及を目指して2001年に設立した「家計の見直し相談センター」では、すでに3万世帯を超える家計診断を行っている。家計管理、生命保険、資産運用など幅広い分野に精通。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。 生活デザイン株式会社 オフィシャルサイト