機嫌の読み方もパターン化する
そこで、私がとった手段は、先生たちの機嫌を見極めるのに、「表情、足の向き、ボディランゲージ」という3つのポイントを重視して、パターン化していくことでした。
①表情
笑顔が続いているときは、機嫌が良いので、多少長話をしたり、契約に持ち込もうとしたりしても大丈夫。笑顔がなかったり、口角が下がったりしているときは、機嫌が悪いときなので、案内だけにとどめて、早めにその場から退散する。
②足の向き
心理学的に人間は自分の行きたい方向に足を向ける傾向があると言われています。「早く話を切り上げたい」と思っている人は、足が出口のほうに向いていることが多いと言われるので、先生のつま先が出口のほうに向いているときは、早めに商談を切り上げていました。
③ボディランゲージ
話に興味があるときは、身を乗り出す一方、興味がないときは、背もたれにもたれかかったり、体を引き気味にしたりしていることが多いと言われています。
あとは、「鼻歌を歌っていれば機嫌が良い」「動作が粗いときは機嫌が悪い」などその人個人に当てはまる無数のパターンを記憶することで、クライアントの機嫌を察知するようにしていました。
ごくごくシンプルな手法ばかりですが、意外とこの単純な方法が功を奏して、先生たちからクレームを受けたり、怒られたりすることは減っていき、次第に周囲の同僚たちよりも営業成績が伸びる……という奇跡的な出来事も起こりました。
上智大学卒。ASDとADHD(注意欠陥多動性障害)の当事者。ASD優位で空気を読むことが大の苦手。新卒で営業としてキャリアをスタートするも、約1年でうつ病を発症。復職し、発達障害であることの強みを活かして営業成績2位をおさめる。入社満3年を迎えるとともに退社し、会社の同期が設立したCare Earth(株)に誘われて入社。現在ではキャリアアドバイザーとして、キャリアに悩む人たちの転職サポートを行っている。また、キャリアや生活で悩む発達障害の人へのアドバイスなどを中心に、コーチングも行っている。