“繊細だからこそ”の強み

HSPさんは、他人に対して細やかな気配りをするだけでなく、相手から受ける恩恵にも敏感です。

井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)より
井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)より

HSPさんはけっして「やってもらって当たりまえ」とは思いません。どんなに小さな気配りにも気がつき、ありがたみを感じることができます。「ありがとうございます」という心のこもったHSPさんの一言は、周囲の人を一瞬で幸せにできるのです。人は、自分のことで頭がいっぱいになると感謝の気持ちを忘れがちです。店員さんが親切にしてくれても、「客なんだから親切にされるのは当たりまえ」と、傲慢な気持ちになることもあります。

敏感体質だからこそ、ピンとひらめく

「勘が鋭いね」と人から言われたことはありませんか。HSPさんは五感が敏感なだけでなく、「第六感」といわれるようなひらめきや直観力に優れています。といっても、スピリチュアルな話ではありません。人は、経験などで蓄積した情報をもとに物事や人の気持ちを判断していますが、HSPさんは感度のよいアンテナをもっていて、多くの情報を蓄積することができます。敏感なアンテナが反応するたびに豊富な情報を検索するので、人よりも多くのことに気づき、勘が鋭くなると考えられます。

つまりHSPさんは、五感が鋭いために直観力が鋭いわけです。

直観力は、仕事をするうえで大事な武器になります。とくに意識もせずに顧客ニーズを的確につかんだり、誰も気づかなかった業務のムラやムダを発見し、改善策を思いついたりします。

またHSPさんには本来、「物事を深く考察して本質を見抜く力」があり、深い考察力と直観力が組み合わさると“ピン!”とひらめくことがあります。

HSPさんが思いつくアイデアの鋭さに驚かされる人も多いでしょう。

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。