保険適用の治療、提供されない治療

不妊治療は経済的な負担も大きいというイメージがあります。実際はどうなっているのでしょうか。

妊娠計画
写真=iStock.com/myschka79
※写真はイメージです

不妊治療には、健康保険が適用されるものと、適用されないものがあります。

「タイミング法」と「排卵誘発法」には、健康保険が適用されます。いずれも、1回あたりの治療費は数千円~2万円程度で、健康保険によって窓口負担は3割になります。

対して、「人工授精」や「体外授精」などには健康保険が適用されません。配偶者間の人工授精の治療費は1回1万~3万円程度と、小さいとは言えない額です。さらに「体外受精」「顕微鏡下精巣内精子採取術」については、1回あたりの治療費の平均が20万~70万円程度と、かなり高額です。

体外受精の治療費助成制度

そこで、体外受精などについては、国や地方自治体が治療費の一部を助成する制度があります。「特定不妊治療費助成制度」です。

対象になるのは、「体外受精」と「顕微鏡下精巣内精子採取術」で、助成額は1回30万円(一部、治療方法によっは10万円)です。70万円の治療で助成を受けると、自己負担は40万円となります。

特定不妊治療費助成制度は2021年1月から内容が拡充されました。助成額は1回15万円から30万円に増額されたほか、助成回数は以前、生涯で通算6回までだったところ、1子ごとに6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)となっています。

また以前は夫婦合算の所得が730万円未満という所得制限がありましたが、現在は、所得に関係なく、助成が受けられるようになっています。なお、対象となるのは、妻の年齢が43歳未満の場合です。

特定不妊治療費助成制度は、実施主体が自治体となっており、自治体に申請します。自治体が指定する医療機関での治療が条件となりますので、事前に確認が必要です。

また自治体によっては、独自で支援を上乗せしている例もあります。例えば東京23区の自治体の中には、治療状況によって5万円、または2万5000円を上限に助成を上乗せするなどの例があります。