医療費自己負担の限度額が月2万円の健保も

次に、病気やケガで治療をしたときの医療費について。健康保険には高額療養費制度があり、1カ月の医療費が一定金額を超えると、その部分は補填されます。上限は収入によって変わりますが、年収約370万~約770万円の人であれば、1カ月8万円強です(図表1参照)。

【図表1】医療費の自己負担限度額(高額療養費制度)

しかし、大企業など一部の健康保険組合では1カ月の医療費の自己負担上限額を2万円程度にしているところもあります。これは付加給付制度と呼ばれるもので、健康保険組合が独自に上乗せしているものです。

実際に病気やケガで高額な医療費がかかった場合は、高額療養費支給申請書を提出するなどの手続きをとることで返金を受けることができます。加入している健康保険によっては自動で返金が受けられる場合や、予め費用がかさむことがわかっている場合は「限度額適用認定証」を取得することで病院の窓口では上限額までだけ支払うことなどができます。

これまで高額な医療費を支払った経験のない人は、会社に付加給付があることを知らず、高額な医療保険に加入しているケースもあります。もしこの情報を知っていたら「1カ月の医療費の上限が2万円なら貯蓄で賄える」という判断ができるかもしれません。

また、健康保険組合の付加サービスとして保養所を低価格で利用できたり、旅行補助が受けられたりするケースもあります。ご自身の会社の健康保険の制度ついて一度調べてみてはどうでしょうか。

仕事中の怪我は労災保険の対象に

一方で仕事中にケガをしたり病気になったりしたときは、労災保険の対象となる可能性があります。健康保険では医療費の3割が自己負担になりますが、労災保険の対象になれば自己負担はありません。

たとえば、仕事中に病院を受診した場合には、労災保険の対象になる可能性があります。業務中の病気やケガで治療を受けるときは、会社に相談してみるといいでしょう。もし、健康保険を利用して病院を受診してしまった場合でも、後から労災保険の手続きをして、還付してもらうこともできます。