コロナで「多様な働かせ方」が加速する

アフターコロナの働き方については、政府・自民党も「週休3日制」の導入に向けて動き出しています。給与がそのままで休暇が増えるなら大歓迎ですが、実態は「選択的週休3日制」。つまり、希望者には休日を週3日とするかわりに、給与を削減するというもの。雇用側にすれば人件費の削減と副業の奨励で賃金を抑え、シフトワークで「専門家」を雇えるメリットがある一方、休日手当てや残業代でようやく生活費を確保している労働者にとっては文字通り、死活問題になってしまいます。

大企業だから安心というわけでもなく、「週休3日制」を選択した時点で暗黙裏に社内の出世コースから外されかねない怖さもあります。企業のトップがいくら旗振りをしても、現場の上司が「働く意欲がない」と見なせば、マミートラック(子育てしながら働く女性に用意された昇給や昇進の機会が減らされる代わりに、フォローが手厚いキャリアコースのこと)ならぬ、「週休3日トラック」に乗せられ、最終的には某大手広告代理店のように「社員の個人事業主化」の対象にされる可能性すらあります。表向きはキレイに「多様な働き方」を謳っていながら、その実、雇用主都合の「多様な働かせ方」が加速しかねないのです。

今週の予定、イベント、タスク
写真=iStock.com/NicoElNino
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偽装ブラック企業を見抜く“ある指標”

そうした偽装ブラック企業を見分けるには、男性の育休取得率を調べるのが手っ取り早いかもしれません。育休を取得することで収入減やキャリア形成を阻害する空気があれば、取得率は限りなくゼロに近いでしょう。厚生労働省の「ポジティブ・アクションを推進するための業種別『見える化』支援ツール」の頁で、各業種の平均値をみてみると参考になります。

いずれにしてもこれからの労働者は、きれい事の裏に隠された雇用主の意図を見抜き、自分の働き方と権利を守るための知識を身につけておくことが絶対に必要です。