終息が見えないコロナ禍、続く孤独な在宅勤務で不安を抱え、「今の仕事、このままでいいのか」と将来のキャリアに悩んでいる人も多いのでは。一歩踏み出そうとして転職が頭に浮かんだ時、最初にすべきこととは。35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんが解説します――。
暗い部屋で床に座り込んでスマホをみる女性
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◆今回のお悩み
銀行で一般社員として働いています。まだリーダー職についたことはありませんが、以前は仕事にやりがいを感じ、昇格を目指してバリバリ働いていました。でも、コロナ禍で在宅勤務が増えて以降、意欲が落ち不安も募り始めています。自宅で一人で仕事をしていると「ずっとこの働き方でいいのか」「自分のキャリアはここで止まってしまうのでは」という考えが頭を巡り、不安が大きくなるばかりです。
転職も視野に、何か武器になるものを身につけようと勉強会やウェビナーなどにも参加してみましたが、優秀な人が多くてかえって自信をなくしてしまいました。次のキャリアに向けて、私は何をすべきでしょうか。(36歳・銀行勤務)

転職も勉強も「手段」にすぎない

会社や仕事に対して明確な不満があるわけではないのに、何となく「このままじゃいけない」という焦りがある。こうしたモヤモヤは、一人で抱え込んでいると「何かしなきゃ」「でも何をしたらいいかわからない」と堂々巡りに陥りがちです。在宅勤務になって、先輩や同僚と雑談をしたり、気軽に相談したりする機会が減り、一人で考える時間が増えたことも、不安に拍車をかけているのかもしれません。

まずお伝えしたいのは、転職も勉強や資格も手段の一つにすぎないということです。何のために行うのか、目的が明確でない状態で動いても不安は解決しないでしょう。それでは、何かしないと不安だからと、行きたい場所もないのにとりあえず家を出るのと同じです。

では、行きたい場所がある場合はどうでしょうか。例えば「山の頂上に登りたい」と思ったとします。この場合、行き先は山ですが、それが近所の山なのか富士山なのか、はたまたエベレストなのか、この点は家を出る前に決めておく必要があります。なぜなら、登るために必要な訓練も装備も、それぞれの山によって異なるからです。