名MCが現場に入った瞬間にすること

「相手が話しやすい状態にするには?」「この仕事を円滑に進めるには?」をその都度考えるようにしています。

そのために私は、現場に入った瞬間から「場を読む作業」と「相手を知る作業」をスタートさせます。そうすれば、対応策が自ずと見えてくるんです。

たとえば、次のようなことを考えています。

場を読む作業
これはどういう場なのか
自分はなぜ呼ばれたのか
 自分は何を求められているのか
その上で、現場の反応、空気感はどうなのか

例:この場/自分に対して積極的・肯定的な人が多いか、そうでないか?
緊張している人が多いか、リラックスしている人が多いか?

場を円滑に回すために、誰と何をすべきか

例:上の立場の人=表立ったやりとりや、最終的な判断を委ねるべき? 補佐役(マネージャーや秘書など)=細かい日程や今後のやりとりを確認すべき? 複数人いる場合は、話が早そうなのは誰? 空気を読めている人や、ムードメーカー=困ったときヘルプできる?


相手を知る作業
話すのが好きかどうか
自信があるかどうか
緊張しているかどうか
場慣れしているかどうか
いまからすること(プレゼン、対談、営業など)に、自信があるかどうか

……というのを見極めているんだよ! と知人に話したら、『ドラゴンボール』に登場する「スカウター」みたいだね、と言われたことがあります(笑)。私、ドラゴンボールは全然知らないのですが、見るだけで相手の戦闘力を測定できるスコープ型の装置だそうで、まさにそんな感じです。ぱっと見て相手の「戦闘力」を判定していくイメージです。

会話する女性たち
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

相手の戦闘力に応じて対応を変化させる

たとえば、各項目10点満点だとして、「緊張せずに話せるスキル:3」とか「専門分野について自信をもって話せるスキル:8」とスキルを数値化するんです。そのうえで、場の空気や相手の戦闘力に合わせて、対応=使用する武器を変えていきます。

相手が「緊張せずに話せるスキル:3」だったら、自分の武器である「笑顔」を多めに出すことで緊張を和らげられるかもしれないし、それこそ他愛のない雑談が有効かもしれません。あるいは「専門分野について自信をもって話せるスキル:8」だったら、その話題を振ったあとは話を遮らないようにすべきだし、もっと話を聞きたい! という姿勢を見せることが必要かもしれません。

こんなふうに戦い方を変えていくことで、相手が話しやすくなるので、より円滑にコミュニケーションをとることができます。結果、仕事もスムーズに回っていきます。