どんなにお金持ちと結婚しても夫婦別財布
——結婚相手に求める条件も、日本とはかなり違ってきそうですね。
【サンドラ】そうですね。ドイツでは、結婚は生活のためではなくて恋愛の延長という感覚です。婚活や恋活も盛んですが、年収より趣味が合うかどうか、一緒にいて居心地がいいかどうかなどが重視されています。
年収もまったく気にならないわけではありませんが、お金持ちの人と結婚しても夫婦別財布であることも多いし、家を買うにしてもそれぞれの稼ぎから半分ずつ出すことになるので、相手の年収はあまり関係ないんですよ。ドイツでは結婚の際に夫婦財産契約を結ぶカップルもいますし、基本的には夫婦であっても「自分の資産は自分の資産」という感覚が日本よりも強いのです。
結婚と言えば、日本では夫が家にいるとイライラするという女性も多いみたいですね。以前、友達から「日本には主人在宅ストレス症候群っていう病気があるんだよ」と教えてもらいました。テレビでも、街頭インタビューで専業主婦の方が「残業が減って夫に早く帰ってきてもらっても困る」と言っているのを見たことがあります。
これはドイツにはない感覚だな、面白いなと思って、なぜそうなるのか私なりに考えてみました。結論としては、そう言う女性たちは、居心地じゃなくて年収とか長男次男とかのスペックを重視して結婚したからかなと。
結婚前に、一緒にいる時の居心地を確かめるのは大事だと思います。例えば、台風で2人きりでホテルの部屋に閉じ込められてテレビもネットも使えない、そんな状況で10時間一緒に過ごせるかどうか。そう想像してみて「過ごせる」と思った相手と結婚するようにすれば、熟年離婚もなくなるのかなと思いました。
なぜ日本の女性は夫をウザいと感じるのか
日本では、妻が夫の悪口を書き込む投稿サイト「旦那デスノート」も話題になりましたよね。なかなか過激な内容で私も面白く読みましたが(笑)、ドイツには別居中や離婚調停中ならともかく、そうでないのに夫の悪口を言う女性はあまりいません。
結婚は恋愛の延長なので、気持ちがなくなったら離婚するのが当たり前。もし女友達に「夫が家にいるとウザい」などと言ったら、「別れなさい」と説教されるのがオチです。でも、ドイツの離婚は日本よりかなり大変で、最低でも1年間別居して裁判所を通してと時間も手間もかかるんですよ。
それでも手間を惜しまず離婚しようとするのは、別れたら生活していけないという人がほとんどいないからでもあると思います。男女どちらにも「養う」「養ってもらう」という発想がない。これは、一生食べていける職を選ぼうとする姿勢ともリンクしていますね。