イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグも

大門小百合さんのプロフィールページ(写真=本人提供)
大門小百合さんのプロフィールページ(写真=本人提供)

Clubhouseに登録して3日目。いきなりテスラの創業者イーロン・マスク氏が10時から話しますというルームが開設されていたので聞いてみたら、イーロン・マスクが「Clubhouseに来たら何を聞きたい?」「マスクのすごいところは?」などと、本番の準備をしながら楽しむ前夜祭のように参加者の中で活発な議論がなされていた。

しかし、いざ、マスク氏がやってくるルームが開設されたとたん、5000人の許容人数が一瞬で埋まってしまい、私は入ることができなかった。すると、誰かがElon Musk overflow room(イーロン・マスクの部屋に入れなかった人の部屋)という名前のルームを作ったのだが、そこでもイーロン・マスクについて人々が議論していた。

その数日後、今度はフェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグもやってきて、参加者の質問に答えていた。世界を動かす、普段ではなかなか会えないような有名人が気軽に話しに来て、参加者の質問にも答えてくれる。それも大きな魅力の一つだろう。

セレンデピティ(偶発性)を楽しむ

Clubhouseで頻繁にスピーカーをしている東京大学の柳川範之教授は、思いがけない人が会話に参加してくるという、不確実性とわくわく感が大きな魅力の一つだと言う。

「思いがけない出会いが目の前で起きるかもしれないという面白さ。何が起こるか先がみえない。たとえば15分ぐらい聞いてつまらないからもうやめようと思っていると、5分後に面白い人が入ってくるかもしれない」

私は、何度か世界のリーダーが集まるダボス会議に参加したことがある。ダボスは完全招待制の会議なので、そこに参加する人の身分は保証されている。そんな安心感からか、会議場へ行くシャトルバスで出会う人たちも、積極的に自己紹介をしてきて、とてもフレンドリーだった。名刺交換をすると、たいてい大企業のCEOだったり、有名な大学教授だったりと、参加者のスケールの大きさにつくづく驚いたのを覚えている。

Clubhouseを使ってみて、そんな経験と少し似ていると感じた。さまざまな分野で活躍している人たちがやってきて、彼らにリアルタイムで直接質問をぶつけることができる。英語を理解することができれば、小さなiPhone一つで、日本だけではなく、シリコンバレーのCEOやベンチャー起業家、AIの専門家などの話を誰でもライブで聞くことができるのだ。それも無料で。

また、本や映画など、ある特定のテーマに関心のある人が集まるルームもあり、そこでの出会いがあったりと、コミュニティのような機能も果たしているようだ。