不必要な仕事が生れるメカニズム
デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』や『官僚制のユートピア』を読んで、私は「パーキンソンの法則」という理論を思い出しました。
この法則はイギリスの歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが1950年代に提唱したもので、イギリスの官僚制に関する調査に基づくものです。
当時、すでに世界に覇権を拡大したイギリス帝国は解体に向かっていたにもかかわらず、植民地省の役人はどんどん増えていました。このような事例から、パーキンソンは「役人は部下が増えることを望み、相互に仕事を作りあう」と述べています。結果、本来は不必要な仕事を生み出すことによって、役人が増え続けていたのです。
言わばグレーバーは、これが役人だけではなく、民間の企業においても起きていると述べているわけです。
9割の中間管理職は必要ない
あなたの周囲には、なんのためになるのかわからない報告書を要求してばかりで、時間をとってばかりいる上司がいませんか?
あるいは、会議をすることだけが仕事のような人もいるのではありませんか?
不必要な管理職ほど、不必要な仕事を一日中続けて、それを部下にも強要します。結果、本当に必要な仕事が後回しになっていく。
私は、少々誇張もあるかもしれませんが、9割の中間管理職は必要ないと思っています。だとしたら、残りの1割の管理職とはなにか。必要な管理職とはどんな人たちを指すのか。
それは、上から見ても下から見てもこの人にはやっぱりいてもらわないと困るという、そういう管理職こそ、本当に必要な1割の管理職なのです。