成績の悪い子はむやみに丸暗記をしている

さらにこのメタ認知には、(1)メタ認知的知識と(2)メタ認知的活動というものがあります。メタ認知的知識には、人がどんな能力を持っていて(人に対する知識)、課題がどんなもので(課題に対する知識)、どんな工夫をしたらそれをうまく成し遂げられるか(方略に対する知識)と分けることができます。

人に対する知識は、指導の時にとても有効に働きます。例えば、指導側にとって、「この子はよく間違える」という知識では十分ではなく、「読み飛ばしているから間違っているのだ」ということに気がつけば、きちんと読ませるように指導することができます。

自分で工夫して編み出した学習法のほうが効果的

また、学習場面では、「どのように工夫をすれば良いか?」という方略についての知識がどのくらい豊富であるかが、学習効果の決め手になります。上述の問題について、成績の悪い子どもたちは、「関連性を持ったものの方が理解しやすい(=物事は関連性を持たせて覚えると覚えやすい)」というメタ方略的知識がないことが露呈したことになります。つまりこのようなメタ方略的知識がなく、学習場面で常日頃利用できていない(むやみに丸暗記しようとする)ことが、成績の悪さにつながっていることが考えられます。

宿題をする少年
写真=iStock.com/ronniechua
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そのため、ちまたには、効果的な学習法というものが溢れています。ところが、学習方略についてのメタ認知的知識は、一方的に「この方法を使いなさい」と教えられても、十分に理解しうまく利用することができません。自分にあう方略を自ら工夫して身につけたほうが効果的だということが示されています。