善玉菌を摂るだけではもったいない!?

腸活の効率化に欠かせないシンバイオティクスのすすめ

食物繊維が不足した食生活だと、どんなに腸にいい菌を摂ってもあまり意味はないとか。「菌そのもの」と「菌のエサ」を合わせて摂る「シンバイオティクス」に注目。

腸内環境で大事なのはダイバーシティ

注目のシンバイオティクスとは?

人の腸内には約1000種類100兆個、の腸内細菌が存在している。ビフィズス菌などの善玉菌が分泌する短鎖脂肪酸は、腸内で有用菌が暮らしやすい環境を整えるほか、体内では免疫系や代謝系に働きかけて人の健康を支えている。大腸で有用菌を増やし、短鎖脂肪酸がしっかりと働く状態をキープすることが腸活の重要ポイント。そのためには「シンバイオティクス」を取り入れた食生活が大切だという。

「ヨーグルトなどの発酵食品やサプリメントで乳酸菌などの有用菌自体を摂ることをプロバイオティクスと呼ぶのに対し、腸内の有用菌のエサとなる食物繊維などの食品をプレバイオティクスと呼びます。食物繊維が足りないと腸内の常在菌を育てられないので、いくらヨーグルトを食べていても意味がなくなってしまいます。腸活にはプロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を摂るシンバイオティクスが大事です」(桐村先生)

腸内の様子がわかる腸内フローラ検査

善玉菌・日和見菌・悪玉菌といった区分けではなく、最近はたくさんの種類の腸内細菌が存在しているダイバーシティの状態が理想とされている。「腸内に定着できる菌は5、6歳までに決まるので、自分が持つ菌と異なるプロバイオティクスを後から摂っても腸に定着させるのは難しいですが、食べ物からいろんな菌を摂ることで、腸を通過する間に常在菌と連携して効果を発揮します。SIBO(小腸内細菌異常増殖)の人を除けば、誰でもシンバイオティクスは有効です。腸内環境が整うと、便の色が黄みを帯び、ニオイがなくなります。腸内フローラ検査をすれば、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌、エクオール産生菌などの割合もわかるので、腸活の成果の参考になるでしょう」(桐村先生)

松井輝明先生
教えてくれた人
松井輝明先生(まつい・てるあき)
帝京平成大学教授
医学博士。日本大学医学部附属板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現職。厚生労働省薬事・食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員などを歴任。
桐村里紗先生

教えてくれた人
桐村里紗先生(きりむら・りさ)
内科医・認定産業医
tenrai代表取締役医師。ヘルスケアの意味を再定義し、さまざまなメディアで発信する予防医療のスペシャリスト。わかりやすい解説に定評あり。米国の最新腸活トレンドにも詳しい。

中島 夕子(なかじま・ゆうこ)
フリーライター&エディター

ヘルス&ビューティ系の記事を中心に、Web、雑誌、単行本などの執筆を手掛ける。