腸には病気や感染症からカラダを守る驚くべき仕組みが備わっている。コロナ禍でカラダの免疫力が気になる今、腸のケアをあらためて見直してみよう。
医師は、画面上、大腸の構造を描画します。
写真=iStock.com/Natali_Mis
※写真はイメージです

消化・吸収だけではない。腸が最大の免疫器官といわれるワケ

新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちのカラダに備わる免疫力があらためて注目されている。有効な治療法やワクチンが見つかっていない今、私たちにできることは手洗いやマスクの着用、3密を防ぐ行動変容に加えて、自己免疫力をしっかりと働かせて発症を予防し、重症化を防ぐことではないだろうか。

自然免疫と獲得免疫の説明

カラダに備わる免疫システムには2種類の仕組みがあり、侵入してきた異物や病原菌を感知して排除する「自然免疫」と、それが突破されたときに抗体をつくり出して攻撃する「獲得免疫」の連携プレーで成り立っている。これらを担う免疫細胞の約7割が腸に集中していることが、腸が最大の免疫器官と呼ばれる理由だ。その仕組みを消化器内科医の松井輝明先生はこのように解説する。

「免疫のおもな担い手は小腸です。小腸の腸壁やその粘膜の下にはパイエル板という免疫器官があり、T細胞やB細胞と呼ばれる免疫細胞がぎっしり並んで、入ってきた異物や病原菌を捕まえて食べてしまいます。また、鼻や口などから入ってきた異物を免疫反応で阻止するIgA(免疫グロブリンA)などの免疫物質もパイエル板でつくられています。