予想外のアイデアが出てきてしまったときの対応

このように「質問」はかなりいい方法なのですが、答えを押し付けるものではないので、チームで話し合っているうちに、自分が予定していた着地点とは別のところにたどり着くことも珍しくありません。

そんなときは、自分の想定していた結論に固執しないことです。

「これは思いつかなかったな。画期的なアイデアかもしれない」

と思える意見が出てきたら、用意していた結論は捨て、そちらを掘り下げていったほうがいい。私の経験からすると、議論をすることによって、あらかじめ考えていた結論よりも、いい案が出ることのほうが多いものです。やはりいろいろな人が集まることで、化学反応が起きるのでしょう。

しかし、なかには、「うーん、これはどうかな」というものもあります。そんなときも、慌てる必要はありません。まずは「その考え方は面白いですね」といって肯定します。しかしそれをさらに掘り下げることはせず、

「今度はこういう視点で考えてみましょうか。これについてはどう思いますか?」

というふうに、視点を変えた質問を投げかけて、軌道修正をすればいいのです。

人を動かすには上手に「質問」をすること。ぜひ試してみてください。

構成=長山清子

桶谷 功(おけたに・いさお)
インサイト 代表取締役

大日本印刷、外資系広告会社J.ウォルター・トンプソン・ジャパン戦略プランニング局 執行役員を経て、2010年にインサイト社設立。初著『インサイト』(ダイヤモンド社)で、日本に初めてインサイトを体系的に紹介。他に『インサイト実践トレーニング』『戦略インサイト』(ともにダイヤモンド社)など。商品開発・ブランド育成などのコンサルティングを行っており、消費財・サービス・テック系企業などで実績多数。インサイト オフィシャルページ