企業が求人広告に書けない「裏の条件」

近年、転職市場でいちばん求人数が多いのは営業職ですが、これも27~32歳がゴールデンゾーンと言われています。ビジネスの基礎は身についているが伸びしろが大きく、さらに体力もモチベーションも高い世代ですね。上の世代に比べると転職経験も少ない人がほとんどなので、企業としても採用しやすい層と言えるでしょう。

では、35歳以上の転職者を企業はどう見ているのでしょうか。ひと昔前と違って、今の求人にはやみくもに年齢制限ができないというルールがあるので、広告には「35歳まで」といった条件は書かれていません。そのため、転職者はその企業が求めている職種やスキルはわかっても、35歳以上がアリなのかナシなのかはわからない場合がほとんどです。

しかし、求人を行う企業の多くは、何歳ぐらいの人を採用するか前もって決めています。広告にはそう書いていなくても、実際は35歳以上の人の履歴書は見ないという企業も少なくありません。本音では、35歳以下の人だけ応募してほしいと望んでいるわけです。

タブレットと求人広告
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とはいえ、年齢は求人広告には書けない“裏の条件”。そこで企業がどうするかというと、あらかじめ人材紹介会社に「この条件に合う応募者だけを選んでくれ」と依頼するのです。

規制緩和もあり、人材紹介会社はこの20年で数十倍にまで増えました。今ではほぼ全職種に人材紹介会社が関わるようになっており、このルートでの中途採用も急増しています。そして企業は、求人広告に載せる内容については一定のルールを守らなければなりませんが、人材紹介会社に要望を伝えるだけなら何を言おうと自由。

転職者にとっては、この裏の条件こそが本当に知りたい部分ではないでしょうか。

私の経験では、企業が裏で要望する条件のトップは年齢、次いで性別です。ほかにも、よく挙がる条件としては転職回数や各社での在職期間、これまでの失業期間、現在就業中か失業中か、などがあります。

こうした条件の中でベストとされるのは、転職回数1~2回、失業期間0、つまり現在就業中の人。35歳以上の場合、これに当てはまらないと面接にさえ進めないことも少なくありません。