3600万円が6800万円に育つ

そして積立投資をするにあたっては、「iDeCo」と「つみたてNISA」という政府の非課税制度をフル活用してください。両制度を満額活用してそれ以外の資金は通常の課税口座で同時に積み立てを続ければいいのです。

例えば世界の長期的経済成長を素直に取り込む国際分散ポートフォリオの長期保有型投資信託で、長期的期待リターンを年率4%と想定すれば、毎月10万円の積立投資をずっと継続すると、本当に老後を迎える30年後には投資に回した3600万円のコツコツ積み立て資金が6800万円程度にまで育つ計算が成り立ちます。

まさに老後はお金の心配から解放された富裕層になれますね。更に人生100年時代は育ったお金を投資信託のまま経済活動の中で働かせ続けることによって、老後資金を殖やしながらつかっていく考え方が肝要です。私たち人間は歳をとりますが、お金はいつまでも元気に働き続けられるのですから。

イソップ童話の「アリとキリギリス」に鑑みれば、まずはアリの行動規範(長期積立投資)を確立した上で、キリギリスのスタイル(今を楽しむ)も程よく取り入れる。800万円30代女子ならこれをケジメ正しく実践したステキな人生が実現可能でありましょう。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信 創業者

1963年生まれ。東京都出身。明治大学卒業。1987年、現在のクレディセゾンへ入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾン インベストメント事業部長を経て、2006年にセゾン投信を設立。2023年6月に代表取締役を退任。セゾン文化財団理事。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)などがある。