年収800万は富裕層ではなく「普通カテゴリー」
年収1000万円台世帯の貯蓄が少ないとの説がありますが、さもありなんです。1000万円プレーヤーが、年収3000万円クラスのハイソな人たちの生活を求めるため、都心のタワマンに住んで自家用車は高級外車が当たり前と思い込み、子息を一流の私立にお受験させないといけないとの脅迫観念にとり憑かれるなど、背伸び志向を止められず、将来に向けた資産形成がおぼつかなくなるというわけです。
800万円キャリア女子にも同じ傾向があるとすれば、住居やクルマ、そして服やアクセサリーなどのファッション、あるいは交友関係につかう交際費などについて、上昇志向の自分を勘違いだと戒めるところからが、老後資金の処方箋の第一歩でありましょう。
即ち800万円は決して富裕層ではなく、平均水準よりはそこそこの超過収入がある「普通」カテゴリーの生活者であると客観視して、生活レベルを「普通」と考える水準に適合修正することからです。そうしたライフスタイルの棚卸しによって、普通レベルからの超過収入の金額が「見える化」されてくるはずです。
毎月10万円を天引きで投資へ回す
そもそも長い生涯のうち、自分が仕事をして収入を得られる期間は限られています。なので老後数十年を生きるための資金は、現役時代から常に一定額を分別して、将来への仕送り資金とみなさなければいけないのであって、手取り収入を丸ごとつかってしまえば老後資金が枯渇するのは自明の理です。まして「人生100年時代」は老後期間が長期化することも言わずもがなです。
さて800万円女子なら超過収入が少なくとも月10万円程度は見積もれるでしょう。ならば「超過分10万円は将来に向け貯蓄に回す」は過去の常識です。いくら銀行に預金を積み上げても、日本はもうずっとゼロ金利が当たり前になっていて、お金は新たな富(お金)を産んではくれません。なので新常識として「貯蓄から投資(資産形成)へ」が巷間叫ばれて久しいのです。
毎月のお給料から10万円を長期資産形成型の投資信託で積立投資に回しましょう。この時大事なのは、将来の自分に仕送りする資産形成資金は余資を回すのではなく、毎月の家賃と同等の優先順位で給料から最初に差し引く最重要ステイタスの資金と位置付けることです。余ったら投資に回す、という甘い考えではいつまで経っても仕送りは出来ません。