ホルモン屋に餃子屋……「おじフード」に若者が

おしゃれなホルモン焼き「レモホル酒場」。(写真提供=GC)
おしゃれなホルモン焼き「レモホル酒場」。(写真提供=GC)

3つめは「おじフード」。おじさんの食べ物というイメージがあるホルモン屋や餃子屋に、今、若者が集まりつつあります。これらの店が、若者のインスタ映えニーズに対応しておしゃれに生まれ変わり始めているからです。かわいらしい内装や食器を取り入れる店も多く、僕のようなおじさんにとってはむしろ入りにくい空間に。

悲しいことですが、今後早ければ10年で「見た目は汚いけど安くてうまい」店は消滅するでしょう。若者たちは、どんなにおいしくても、汚かったりインスタ映えしなかったりする店には行きません。今後の飲食店は、このニーズをしっかり押さえておかないと生き残れない可能性もあります。

 

加工してレトロに見せる「創作レトロ」

4つ目は「創作レトロ」です。インスタでは今、レトロなものや場所の写真を載せる「レトロ映え」が人気を集めていますが、最近はレトロでないものまでそう見えるように加工する子が出てきました。

インスタ側もそれを察知し、機能のひとつ「ストーリーズ」ではレトロな雰囲気の日本語フォントを提供し始めています。これをネイルに取り入れた「レトロフォントネイル」も人気ですし、レトロな風景に昔のイラストなどを組み合わせた画像の投稿も増えています。この「レトロ」は、若者ウケを狙う上で2021年も引き続き重要なキーワードになるでしょう。

食べる直前のひと手間だけかけたい「0.5手間料理」

5つめは「0.5手間料理」です。最近は、飲食店で撮った動画をインスタに上げる若者がたくさんいますが、その中でも特に流行り始めているのが、料理に自ら最後のひと手間を加えるシーン。テーブルに並んだ具材を自分で包んで仕上げたり、パンを卓上コンロで焼き上げたりというように、最後の工程だけを自分の手で行うのです。

(左)完成イメージ(右)梅酒体験専門店「蝶矢」の体験キット。
写真提供=チョーヤ梅酒
(左)完成イメージ(右)梅酒体験専門店「蝶矢」の体験キット。

最後の工程と言ってもどれも非常に簡単で、ひと手間にも満たないことから、僕は「0.5手間」と名づけてみました。これが若者に受けているのは、手軽にオーダーメイド感覚が味わえる上、インスタで発信する際に自分の個性やクリエイティビティをPRできる余地があるからだと思います。

ただ、手間が楽しいからと言って、Z世代がそば粉からそばを打つようになるとは思えません。今の若者向け商品に「面倒くさい」は絶対的にNG。ゴールはあくまでもインスタ映えなので、この例のように、最後の0.5手間だけをあえてかけさせるのがヒットのコツになりそうです。