便秘にサラダは無意味だった

便秘外来を受診する患者さんの多くは、食物繊維が便秘に良いと知っています。そして実際に食物繊維を摂ろうと努力しています。しかし、どんな食事をしているか尋ねてみると、野菜サラダなどの生野菜をたくさん摂っている人が多いことに気づきます。これは便秘の治療という点では効果がありません。

前田孝文『男の便秘、女の便秘』(医薬経済社)
前田孝文『男の便秘、女の便秘』(医薬経済社)

「便秘といえば食物繊維」=「野菜をたくさん」=「レタスやキャベツなど葉物野菜」=「サラダ」とイメージされている方が多いと思います。実は便秘の解消に葉物野菜はあまり役に立ちません。なぜなら便秘解消に役立つ食物繊維は、腸内細菌の活動を活発化させる水溶性食物繊維であり、レタスなどの葉物野菜にはあまり含まれていないからです。

葉物野菜には不溶性食物繊維が多く含まれます。野菜のスジなどはまさに不溶性です。確かに不溶性食物繊維を多く摂ると便の量が増え、便の形がしっかりします。大腸の動きが正常の人はこれで便秘は良くなります。

しかし、多くの人は大腸の動きが弱いタイプの便秘です。不溶性食物繊維を多く摂ると便は増えますが、大腸の動きは良くないので、余計に便が詰まってしまいます。食物繊維を摂っても便秘が良くならない理由の一つは、摂っている食物繊維の種類を誤っていることです。

不溶性食物繊維ではなく、水溶性食物繊維を多く摂ることが必要になります。

便秘の人が取るべき食べ物

水溶性食物繊維は便の形を作るのではなく腸内細菌の栄養になっています。善玉菌が元気になると、体に良い様々な有機酸(酪酸や乳酸、プロピオン酸)が作られて、腸の動きが良くなるのです。これらの有機酸が大腸を動かすエネルギーとなり、腸の蠕動運動が良くなって便秘が改善します。ほとんどの野菜は不溶性食物繊維の方が水溶性食物繊維よりも多く含まれています。ですから食物繊維を摂ろうと意識するときは、水溶性食物繊維を多く摂るよう意識することが大事です。

水溶性食物繊維を多く含むのは、らっきょうやにんにく、ごぼうなどの根菜類やワカメなどの海藻類です。また、リンゴやキウイフルーツ、プルーンなどの果物も水溶性食物繊維が豊富で、便秘解消に役立ちます。