3.仮面をつける

実際に仮面をつけるわけでなく、仮面をつけている自分を想像するということです。

これは、分析心理学の創始者であるスイスの精神科医、ユング先生が言い出したことですが、そもそも人間は生きているだけでペルソナという仮面をつけながら役割を演じているのです。確かに家の顔と会社の顔は違う。そのつど仮面をつけかえているというのが、ユング先生が言っていることです。

それを発展させたのが、この方法。つまり大舞台の本番前、緊張している場面で、自分が理想としている仮面をイメージしてみましょう。それを意識すると、自分の意欲や気持ちが変わってきます。

黄色いドレスを着て仮面を手にする女性
写真=iStock.com/Ranta Images
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たとえばプレゼンであれば、スティーブ・ジョブズの仮面をつけてみる。今までの自分の仮面を外して、新しくスティーブ・ジョブズの仮面をつけるという意識を持って臨みます。

幸い自分の顔は自分で見えないので、仮面をつけたと意識したら「プレゼンを聞いている人も自分をジョブズだと思って聞いているんだな」と、ぜひのびのび表現してほしいですね。

4.ネガティブなことを口にしない

本番前に自分を鼓舞するために、自分に声をかけることはよくあります。

しかし人間というのは、緊張感が高まると無意識のレベルでは、それが否定語か肯定語か判断できず、キーワードでしかイメージできない動物です。

ですから、そのときにネガティブなキーワードが入っていると、そのワードを意識することになってしまうので注意が必要です。

たとえば緊張すると早口になる癖のある人が、本番前に「早口にならないように、早口にならないように」と自分に言い聞かせると、「早口」というワードだけが残り、早口でしゃべっている自分しかイメージできなくなってしまうということです。これは本当に危険。

そういうときは「ゆっくりとしゃべろう」とポジティブな表現で言い聞かせないとダメですね。「緊張しない、緊張しない」ではなく、「落ち着いていこう」「リラックスしよう」ということですね。

また、これは自分だけでなく、人を励ますときも同じです。

大舞台の直前に部下を励ますときに「早口になったらダメよ」というと、部下は早口になりますし、「緊張しないようにね」というと、緊張してしまう。人間というのは、僕たちが思っている以上に、無意識にコントロールされているのです。