修学旅行代わりの「オンライン移動教室」も

私のクラスでは、1学期は国内を対象にSDGsについて学びましたが、2学期は世界に目を向けました。今年度は修学旅行も日帰りしかできなかったので、「オンライン移動教室」と名付け、世界とつないで学びを深めています。ニューヨーク、シンガポール、香港、インドネシアなどの学校とつないで学んでいます。現在のコロナ対策について話を聞いたり、各地のコンビニや、ゴミ箱の中を見せてもらったり。もちろん観光名所や人口を調べたりしています。

アメリカ・ニューヨークとつないだ「オンライン移動教室」
写真=本人提供
アメリカ・ニューヨークとつないだ「オンライン移動教室」

これは、私の学校だけで進めている取り組みではなく、コーディネーターになってくださる方がいて、参加したい学校を一度に何校もつないでいます。今は、教員の個人的なネットワークを使って連携しているだけですが、例えばこれを、「○月○日はニューヨークとつなぎます。入りたい小学校は手続きをしてください」などと文部科学省や教育委員会で管理をしていただければ、もっとスムーズに多くの学校で学びを共有できるのではないかと期待しています。

本当は誰でもすぐにできることだが…

ここまでの話でご理解いただけたかと思いますが、私がやったことは「オンライン」というよりも「ただ、Zoomでつなげただけ」なんです。特別な設備や知識が必要なわけではないですし、実はコロナ以前もやろうと思えばできたはずなんですが、思いつかなかったし、やろうともしなかった。

教員の中には、デジタルに詳しくない人もたくさんいますし、かく言う私も特に詳しい方ではありません。本当は全国どこの学校でも簡単にできることなのです。

ただ、前回もお話しした通り、学校や教員も決して怠けているわけではなく、慣習や文化などの問題があって、なかなか踏み切れない学校が多いのが現状です。特に義務教育では「一律の実施でないと不公平になる」といった意識が学校側にも保護者の側にも強く、新しいことに取り組む時の壁になっています。「まずできることからやってみよう」という精神が認められるようになれば、もっといろんなことが加速すると思います。保護者の皆さんには、ぜひそのような雰囲気をつくることにも力を貸していただけるとありがたいです。

GIGAスクール構想は国全体の方針ですし、子どもの将来を考えるとぜひ進めなければなりません。ただ、それぞれの学校や地域により状況は異なるので、ぜひ長い目で見守っていただきたいのです。