崩壊と復興を学ぶ本6冊
何度も危機を乗り越えてきた人類の歴史。金融や感染症、世界史全体の流れから、危機への対処法を学べる6冊を紹介する。歴史の教養が、今後の世界のあり方を教えてくれる。
▼歴史的な流れから金融取引の発展を読む
倉都康行・著
860円(ちくま新書)
世界の金融の歴史を網羅的・歴史的に解説する1冊。金や銀などの地金の問題、中央銀行の変化、変動する為替市場、金融技術の進化など、金融取引を取り巻く複雑な相関関係から、資本主義がどのように発展し今後どうなっていくのかを読み解く。
▼文明衰亡の歴史の共通点を探る
高坂正堯・著
1400円(新潮選書)
繁栄と衰亡を繰り返してきた人類。栄華を極めた文明の衰退には、共通する「失敗の本質」がある。古代の巨大帝国ローマ、中世の通商国家ベネチア、現代の超大国米国を例に挙げながら、「強国が衰退する過程」を検証。繰り返される歴史から、現代を生き抜くヒントを探る。
▼国家的危機を乗り越えた7つの国の事例
『危機と人類』上・下
ジャレド・ダイアモンド・著/小川敏子、川上純子・訳
各1800円(日本経済新聞出版)
近現代で国家的危機に直面した世界7カ国の事例から、いかにして劇的な変化を乗り越えて、繁栄してきたかを解き明かす。さらに、日本をはじめ現代の各国が直面する危機と、将来とるべき道を考察。地球規模の新型コロナ危機から世界を救う道を模索するのに役立てたい。
▼人類が直面してきた感染症との闘いの記録
小長谷正明・著
800円(幻冬舎新書)
医師の視点から人類がウイルスとどう闘い、世界史がどのように変わっていったかを明らかにする。14世紀ヨーロッパのペスト流行や幕末の日本で黒船来航後のコレラ流行が、その後の歴史に与えた影響など、さまざまなエピソードから、新型コロナとの闘い方を学ぶ。
▼人間の欲望をお金に変えた「金融の歴史」
板谷敏彦・著
1300円(新潮選書)
「金融の歴史」を古代から現代まで俯瞰して捉えた1冊。メソポタミアの楔形文字による賃借記録にはじまり、さまざまな金融の歴史をたどることで、繰り返されるデフレ・インフレ・バブルの仕組み、現代投資工学のからくりを理解。金融・経済のリアルを実感できる。
▼正しい世界史の知識はコロナ後を生きる武器
茂木 誠・著
760円(祥伝社黄金文庫)
日本人だけが知らない「現代世界を動かす原理」を解説。近隣諸国との関係、紛争が続く中東、崩れゆく欧米など正しい世界史の知識を持つことで、ニュースの本質を理解する。大量に飛び交う情報から「何が本物か」を見極めることが、これからの日本人の武器となる。
構成=工藤千秋 写真=iStock.com
東京都出身。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で大学入試世界史を担当。東京大学など国公立系の講座を主に担当。世界史の受験参考書のほかに、一般書として、『超日本史』(KADOKAWA)、『「戦争と平和」の世界史』(TAC出版)、『バトルマンガで歴史が超わかる本』(飛鳥新社)、『「保守」って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(共著、ビジネス社)『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)、『政治思想マトリックス』『日本思想史マトリックス』(PHP研究所)ほか多数。YouTube「もぎせかチャンネル」でも発信中。