来年の手帳や日記帳を買うシーズンになりました。1年間を振り返っている人も多いかもしれません。脳科学が専門の細田千尋さんが、ストレスが減り、前向きになれる日記の書き方のコツを教えてくれます。
自宅の机で手帳に書き込む女性の手元
写真=iStock.com/AntonioGuillem
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何かと不満がたまりやすい人の特徴

「感謝が足りない……!」

これは、仕事に家事に頑張る妻、夫、上司のために奔走する部下など対人関係でもつ不満要因の一つです。私たちは、子どもの頃から「感謝をしなさい」と教わってきています。感謝が無いことについて不満を持つ人が多い一方、どのくらいの人が、自分が感謝をすることを大事にしているでしょうか?

同じ状況にいても、どのくらい感謝できるかについては個人差がとても大きく、このひとによって違う感謝度合いを特性感謝と言います。この特性感謝は、well-beingの向上につながることが多くの研究から明らかになっています。

“感謝しやすい人”は幸福度が高い

感謝しやすい人(特性感謝の高い人)は、①ストレス反応が起こりにくく、うつっぽくならない、②充実感を得やすい、③主観的幸福感が高い、④自分はほかの人から助けてもらえるという考え方を持つ、⑤楽観的である、ということが示され、総じて感謝をしやすい人は、well-beingが高いことが多くの研究から示されています。

そこで、感謝をするようになれば、well-beingが高くなるのかという因果関係を調べた有名な実験があります。その実験では、一日の中で感謝したことを5つ記録する人たち、面倒だったことを5つ記録する人たち、他者よりも自分が優れている点を5つ記録する人たちの3つに分けて、気分、体調、運動時間、well-being、カフェインとアルコールの摂取量、睡眠時間と質、向社会的行動(人のため、社会のために無私の心で行う行為)が、その3つの群でどのように異なったかを調べました。