薄れる会社への忠誠心
今回のような緊急で大きな転機により、会社が何を大事にしているのか本質的な価値観があぶり出されました。表向きは従業員が大事と言っていた会社が、感染リスクがあっても全員に出社を強制したり、成果主義だとしていたのにリモートワークを時間で管理したり。そうした矛盾がすべて露呈され、組織へのロイヤルティーや求心力が失われつつあります。
一方で、多くの業界が打撃を受け、この経営インパクトはまだまだ続きそうです。だいたい2、3年は影響が出ると見積もっている会社が多く、経営がすでに危うい会社もあるでしょう。この秋冬以降、さらにリストラが始まり、適応できない企業から倒産することが予測されます。
経営者意識を持つ
ここから2、3年が、働く個人も会社もいかにサバイバルできるかのポイントになるのです。
キーワードは「焦るな、危険!」。まずは、戦略的に考え、焦って動かないことです。急ぎすぎると失わなくていいものまで手放すことになります。コロナ禍で会社が信頼できなくなっても、いま正社員であるならば辞めずに、この1、2年の変革期を見つめる必要があります。
いまは、人々の生活様式も変わり、ビジネス自体が転換している時期です。こんな状況の中でも、成長している分野、上手に転換している分野があるので、まずは冷静に観察し、分析してみてください。答えの出ない事態に冷静に耐える能力を「ネガティブケイパビリティ(Negative capability)」といいますが、いまは、それを発揮するべきときです。
しかし、状況によっては「急いで避難」のアクションを取らなくてはいけないこともあります。それは「働き方がやばい」「上司がやばい」「利益が急激に落ちていて、もう会社がやばい」ときです。あなたの仕事は、あなたの会社とイコールではありません。自分というものを経営し、決断していくのは、最後まで自分です。「あなたという会社」の経営者はあなたです。会社は守ってくれません。「自分を経営する」意識を持ってください。この会社の経営を軌道に乗せるのであれば、いま耐えるべきか避難するべきか、冷静に判断する必要があるのです。