これから必要なスキル

これから求められる人材が備えるべき力を挙げてみましょう。

ポストコロナ時代に求められるスキル

まずは、セルフマネジメント力。常にリモートワークでいることで、うつ状態になってしまったり、生活リズムがくずれたり、公私の線引きができず働きすぎる人も出ています。これまで以上に自分の仕事のペースをつくっていく必要があります。

そして、セルフアピール力。与えられた目標に対して成果を出し、それをきちんと上手にアピールできるか。これまでのように上司や同僚がすぐそばで見ている働き方ではなくなる可能性が高いのです。

そして、論理的なコミュニケーション力。自分の抱えている課題や仕事をロジカルに説明して問題を共有できなければ、遠隔でスムーズに仕事を進めることは不可能です。

そして、リアルで会うことや仕事の仕方に制限がある中でも相手とつながる、他者とつながる力は、より一層求められます。

いまは全世界同時に災害が起きているような状況です。国内だけの被害では済まず、海外ビジネスも危機的です。だからこそ、ここはコロナ禍で貧乏くじを引いたと思わず、コロナによって新しいことが生まれると考えるようになった人が、サバイバルしていけるでしょう。社会のニーズがある方向へ身を置くようにすることがリスクヘッジになるのです。

これまでに自分が得た知識やスキルを棚卸しし、それを軸足にして一歩前に出てみましょう。この危機を乗り越えている業界や企業、手法をよく分析し、それと自分のスキルをかけ合わせた次のステップを考えてもいいでしょう。自分がこれからどんな価値を発揮し貢献できるのか、ストーリーを語れる人が、転職でも自社に残ってもきっと活躍できる人材となるでしょう。

構成=岩辺みどり 写真=iStock.com

中原 淳(なかはら・じゅん)
博士(人間科学)、立教大学経営学部教授

1975年、北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授などをへて、2018年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している。『職場学習論』『経営学習論』(ともに東京大学出版会)、『研修開発入門』(ダイヤモンド社)、『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書ラクレ)、『フィードバック入門』『話し合いの作法』(ともにPHPビジネス新書)など、共編著多数。