議会が市議活動のすべてはない
【申】すばらしいお話ですね。さて、今後、市議としてはどう活動していこうと考えていますか? 女性の場合、選挙運動の間は意思を貫けても、いざ任期が始まると、先輩議員にあれこれ言われて思うように動けなくなる人も多いと聞きます。
【川久保】新米の立場で偉そうなことは言えないのですが、私としては、議会は「いくつかある市議活動の場のうちの一つ」と思っています。そこでうまく動けないからと言って、市議活動ができないわけじゃない。もっと視点を広く持って、市民の皆さんを巻き込んで楽しく活動できたらいいですね。
【申】川久保さんは選挙運動から新しいやり方を示してくれたので、市議としてもきっと新しいモデルをつくってくれると思います。ただ地方議員は、1期目は新しいチャレンジを応援してくれる人も多いけれど、2期目の当選はぐっと難しくなると言われています。2期目に向けての目標や戦略はありますか?
【川久保】2期目のことまで考えると思い切った挑戦ができなくなりますし、政治家でい続けることにもこだわっていないので、2期目以降については本当に未定です。今はただ、自分が掲げた政策を4年の任期でいかに実現させるかということだけを考えています。
【申】お話を聞いて、新しい政治への希望が湧いてきました。川久保さんの言葉は、政治が私たちの生活に寄り添い始めていると感じさせてくれました。本当の政治とはそうあるべきだと思います。この新しいチャレンジを議会でもぜひ続けて、世の女性に勇気を与えてくれることを期待しています。
構成=辻村洋子
米国ワシントン大学政治学科で博士号を取得し、ジェンダーと政治、女性運動、ジェンダー政策などを研究。学術誌『ジェンダー研究』編集長。共著『ジェンダー・クオータ:世界の女性議員はなぜ増えたのか』(明石書店)など。女性議員を養成する「パリテ・アカデミー」共同代表。
1986年生まれ、茨城県つくば市出身。2010年、東京大学大学院法学政治学研究科修了。ITベンチャーでの企画営業職を経て弁護士となり、鳥飼総合法律事務所に入所。2018年、弁護士業の傍ら株式会社リージットを起業。2020年10月の茨城県つくば市議会議員選挙で、無所属新人として4218票を獲得し3位で当選。1歳と3歳の2児の母。著書に『これならわかる テレワークの導入実務と労務管理』。