これからの親が避けるべき育て方とは

第一に、「競争に勝つ」ことに重きを置くのはやめるべきだと思います。例えば、息子が友達とのケンカに負けたり、スポーツの試合で活躍できなかったりすると「男の子なのに情けない」と言ってしまう。

親は、負ける子になってほしくないという思いからついこう言ってしまいがちですが、他者に勝つことで評価され続け、そこに執着する人間になると、将来さまざまな問題が起きる可能性があります。

息子をしかる母親
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今、社会は合格や昇進などの勝敗ではなく、その人の個性や成長度を評価する方向に変わりつつあります。企業も、受験や出世競争を勝ち抜いてきたかどうかより、その人独自の力、例えばコミュニケーション力やマネジメント力などで社員を評価するようになってきています。

こうした組織の中では、他者に勝つことが自分の価値証明だと思っている人は通用しません。他者に勝ちたい、つまり人より先に昇進したいと熱望しても評価されず、昇進できないわけですから、本人は挫折感の中で働き続けることになってしまいます。

「男だから仕方がない」は通用しない

第二に、「男らしくあれ」と育てるのも終わりにしたいものです。男らしさや女らしさにとらわれたままでは性別分業意識が強くなりがちですし、男は大黒柱であるべきというプレッシャーは生きづらさの原因にもなります。

第三に、「男の子は多少乱暴でもいい」という従来の意識も変える必要があります。粗暴、不真面目、大ざっぱといった性質は、本来なら欠点と考えるべきものですが、日本では「男だから仕方がない」と許されてきました。

しかし、多様性が進んだ社会では、性別ではなく個々人の特性が評価の対象になります。男女問わず乱暴な人は敬遠され、優しさやきめ細かさを持った人が評価されるようになるでしょう。

そのため、欠点があっても「男の子だから」と許されて育った人は、今後の社会で通用しなくなるかもしれません。では、そんな大人にしないためにはどう育てればいいのでしょうか。