夫と義母を介護してみとりました。何もしていない義妹夫婦と平等に財産を分けるなんてありえない

【相談者】A子さん・会社員 【相続人】長男(A子さんの夫)、長女(夫の妹)
【財産】家、預貯金

夫の母と暮らして夫婦で介護。義母を病院などに連れていくのは私の役目。仕事を休んで時間を工面しました。一方、夫の妹夫婦はたまに顔を出すだけ。それで財産を平等に分けるっておかしいですよね。

夫の親の介護をしても、夫の妻は相続人ではないので、話し合いのテーブルにもつけず、感謝の言葉もないという話はよく聞きます。

A子さんもそうです。夫の妹さん夫婦は何も介護を手伝っていないのに、法定相続分どおりに分けるのはおかしいと思っています。

こういった問題を解決するために、2019年7月から相続人以外の親族が無償で介護や看護をしたら“特別寄与料”として金銭の支払いが請求できるようになりました。そこでA子さんは、夫とともに相続の話し合いに参加し、介護にかかった時間や費用をつけた介護ノートを見せながら、この貢献分はほしいという希望を伝えました。そうすると最初は介護のことは考慮せず法定相続分をもらおうとしていた妹さん夫婦も、A子さんの働きに納得。結果的にA子さん夫婦は法定相続分に加えて特別寄与料ももらえることができました。A子さんだけでなく、A子さんの夫もしっかりと主張したことが功を奏したようです。

▼スムーズに特別寄与料を請求するために
特別寄与料として請求できるのは療養看護をした分だけ。仮に通院で仕事を休んだら、その分を時間換算で払うものなので、たとえ財産がたくさんあっても、相続人1人分とはいかない額なのだ。特別寄与料をきちんともらうためには、貢献度がわかる介護ノートや介護アプリで、日付入りの記録を残して共有しておくのがおすすめ。薬代やおむつ代、交通費などの出費も記録しておくと、使い込みの疑いをかけられずにすむ。
【特別寄与料の計算例】
特別寄与料は「介護報酬基準額×介護日数×裁量的割合0.7~0.8」で算出される。
(例:要介護3で2年介護の場合)
5840円×730日(2年)×0.7=298万4240円

二世帯住宅で親が亡くなり姉1人に。売りたいのに応じてくれない

【相談者】N美さん・公務員 【相続人】長女、次女(N美さん)
【財産】家

20年前に二世帯住宅を建て、1階に母と独身の姉、2階に私たち家族が住んでいました。母が他界したので、家の名義は姉と私に。子どもたちも巣立ったので、家を売って住み替えたいけれど、姉が頑として応じない……。

このケースのように共有名義で二世帯住宅に住んでいて、相続のときに困るケースは少なくありません。N美さんのように家を売りたくても、お姉さんが応じなければ、売るに売れません。

そもそも二世帯住宅は、1つの土地に1つの建物が立っているため、二世帯住宅という形でなければ売れません。そこが共有名義になっていたら当然、名義人全員の承諾が必要です。N美さん夫婦は、お姉さんの分を買い取ってもいいから何とかしたいと思っていますが、お姉さんは今の家が気に入っていて住み続けたいとゆずらないので、深刻な対立になっています。

こんなふうに二世帯住宅を共有名義にすると、売却したくても足並みがそろわないので、共有名義は避けたほうが無難。このままお姉さんが結婚せずに亡くなったらN美さんが相続できますが、それも先の話。今住み替えたいなら、自分たちの住んでいる部分だけを貸すしかないでしょうね。