相続で幸せになる人は何を身につけているのか。相続問題に詳しい税理士の天野隆さんは「相続の局面ではプラス思考が重要。日頃から『イラッとしたときの心構え』と『ツキカエタの法則』を身につけるといい」という――。

※本稿は、天野隆、税理士法人レガシィ『相続格差 「お金」と「思い」のモメない引き継ぎ方』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

子供の前でけんかをする男女
写真=iStock.com/takasuu
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相続する人の考え方が一番重要

モメる相続とモメない相続の違いはどこにあるのでしょうか。

私は、相続する人の考え方が一番重要なのではないかと思っています。

「親が私たちに財産を残してくれてありがたい」

「お金も大切だけど、親族が仲良くすることはもっと大切」などと物事をプラスに考える「プラス思考」の人ばかりだと、相続はモメません。

一方、「どうも、うちは損している気がする」「妹は親の面倒も見なかったんだから、もっと相続額は少なくていいじゃないか」などと「マイナス思考」の人が多いと、相続はモメる傾向にあります。

モメない相続のために今すぐできること

図表1は、世の中の相続を、大まかに4つのパターンに分けてみたものです。縦軸は考え方の違いで2つに分けており、上が「プラス思考」、下が「マイナス思考」の家族です。横軸は財産の大小で、右が相続財産の多い家族、左が相続財産の少ない家族です。

こうして4つのパターンに分けたとき、右上は資産家で「プラス思考」の家族になります。財産もあって「プラス思考」という理想的な家族です。もちろんそうした家族は一定数存在しているのですが、なかなかメディアでは紹介されません。

右下は、財産が多くて「マイナス思考」の家族。これは、相続に際して骨肉の争いになる恐れがあります。テレビの弁護士ドラマの題材になるのはこうした家族で、主人公をいじめる意地の悪い人物も登場してきます。実際には、むしろ例外的な存在ですが、珍しいケースがたまに発生するから、ゴシップ記事をにぎわせるわけです。

左上は、財産が少なくて「プラス思考」。「お金はそんなにないけれど、それよりも大切なものがあるよね」という、ほのぼの家族といってよいでしょう。

左下は、財産が多くないのにモメる家族。多くない親の遺産をめぐって争う、ギスギス家族です。遺産分割協議がまとまらずに家庭裁判所に持ち込まれるのは、このパターンです。

モメない相続のために今すぐできるのは、考え方をプラスにすることだとおわかりでしょう。財産をいきなり増やすのは不可能ですが、考え方を変えることはできます。考え方を「プラス思考」に変えることで、モヤモヤ相続もすっきりします。ギスギス家族に陥ることなく、ほのぼの家族を目指しましょう。