フルグラの成功も売り場が決め手だった

少し前の話ですが、カルビーの「フルグラ」などのシリアルも、売り場を変えることで消費者の認識を改めることに成功しました。

シリアルはいまでこそ朝食として浸透しましたが、フルグラがブレークする前のシリアルは子どものお菓子のようなものだと思われていて、大人が朝に食べるものという認識はなかったのです。お店でもたいていはお菓子売り場の隣で、ひどいときはポテトチップスの横に置かれていることすらありました。お菓子売り場に並んでいる限り、「これはお菓子でしょう。だって横にポテトチップスがあるし」と思われてしまい、朝食に食べてもらうことは不可能です。

ところがパン売り場の横に置かれれば、「ああ、これは朝に食べるものなのね。パンばかりじゃ飽きるし、これもいいかもね」となる。

余計なマーケティングコストをかけるくらいなら、売り場を移してもらうほうがよほど効果がある。それくらい商品がどこに置かれるかは重要であり、各メーカーは自社商品の置き場所をめぐって、しのぎを削っているのです。

このような視点で見てみると、日用品の買い物も面白くなるのではないでしょうか。ぜひ毎日の買い物のついでに、マーケティングの視点で店内を観察してみてください。

写真=iStock.com

桶谷 功(おけたに・いさお)
インサイト 代表取締役

大日本印刷、外資系広告会社J.ウォルター・トンプソン・ジャパン戦略プランニング局 執行役員を経て、2010年にインサイト社設立。初著『インサイト』(ダイヤモンド社)で、日本に初めてインサイトを体系的に紹介。他に『インサイト実践トレーニング』『戦略インサイト』(ともにダイヤモンド社)など。商品開発・ブランド育成などのコンサルティングを行っており、消費財・サービス・テック系企業などで実績多数。インサイト オフィシャルページ