TikTokを使いこなせないのは◯◯がない会社

【原田】TikTokの活用がうまくいかない会社に共通点はありますか。

【小島】社内に動画に対する知見がない会社です。そして現時点ではそういう会社のほうが圧倒的に多い状況です。

2020年代は「動画の時代」と言われています。これから5Gが拡大し、動画は重要な発信源になっていきます。ただ、SNSにはそれぞれ特殊な“文法”があるので、それに沿った発信が必要です。テレビCMのようにブランドを前面に出すよりも、TikTokのユーザーにウケるコンテンツの中身にブランドを寄せて発信していくことが大きなポイントです。

【原田】TikTokの場合、その“文法”というのは、たとえばどういうものがありますか。

【小島】TikTokは短い動画という性質上、「開始1秒」が勝負どころです。親指をスクロールして次々と新しい動画が出てくる中で、脳が一瞬で「この動画を見るべきかそうでないか」を判断するからです。「サムストップ」と言いますが、どうやってユーザーの親指を止められるかが最初の1秒にかかっているわけです。最初の1秒で、ターゲットがその動画を見るべきと判断する作り方をしなくてはなりません。15秒を最後まで見てもらえるという前提のテレビCMを作っている企業では、苦戦することも多いかと思います。

また、15秒間に起承転結を付けるのもTikTokの動画で大切なポイントです。最後に「オチ」をつけるのは鉄則。くすっと笑えるようなオチがつくと再生数が伸びるんです。これもTikTokの「文法」です。

【原田】ハッシュタグチャレンジではなく、インストールや会員登録を促すようなプロモーションの場合の広告効果はいかがでしょうか。

【小島】実は、そういう広告の方こそ、ちょうど今狙い目だと思っています。コロナの影響もあってユーザーは伸びていて枠が広がっている一方で、まだ広告出稿をする側のクライアントはそこまで増えていません。そういう時期は広告効果が出やすいので、「お買い得な時期」と言えます。

政府や自治体がTikTokに注目するワケ

【原田】企業側の視点では、公式TikTokアカウントの運営ということも考えていくべきでしょうか。

【小島】はい、企業だけでなく、政府や行政もTikTokでの発信に積極的です。最近だとTikTokが防災啓発を目的として「防災TikTok」というキャンペーンを始めましたが、ここでは気象庁や、厚生労働省、スポーツ庁と連携しています。

【原田】若い人に情報を拡散したいという意図でしょうか。

【小島】もちろんそれもありますが、それに加えて、動画のほうが情報効率が高いことがあります。ただYouTubeだと、動画を作っても誰も見てくれない可能性も大きい。一方、TikTokは情報の質さえよければ、10万でも100万でも拡散されていきます。

広告効果の点でも、情報伝達の点でも今後TikTokが注目され続けることは間違いないでしょう。

構成=藍羽笑生

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平マーケティング研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

小島 領剣(こじま・りょうけん)
Natee 代表取締役

早稲田大学国際教養学部卒。2016年にビズリーチに新卒入社し、新規事業のプロダクト開発にエンジニアとして携わる。ショートムービーの勃興と、個がメディアになり活躍する未来を強く信じNateeを創業。