「広告」が激変する可能性

【原田】そうなんですね。でも、どんな広告が出せるのですか?

マーケティングアナリスト 原田曜平さん
マーケティングアナリスト 原田曜平さん

【小島】TikTokの看板メニューといえば「ハッシュタグチャレンジ」(TikTok内でユーザーに企業コンテンツの作成・投稿を促す広告のこと。ハッシュタグをつけて投稿を促すためこう呼ばれる)があります。専用動画と音声があり、使って遊んでもらうようなフォーマットのものです。これはTikTokをジャックするという手法ですね。

もう一つは、いわゆるダイレクトコンバージョン(直接購買させる)形の広告で、たとえばアプリのストア画面に飛ばしてアプリのインストールを促したり、アプリだけでなく、通販サイトやスキンケアブランド、あるいはWi-Fi事業者の申し込みページなどで会員登録を促す広告などにも使えます。

【原田】「あんなので効果があるのかな? と思っている人は多いと思うんですよ。実際にTikTokで広告効果はあるのでしょうか。

ポッキーの動画が1日で2万3600本投稿される

【小島】ハッシュタグチャレンジに関して言うと、当たるものとそうでないもので差が出ます。

たとえば、「ポッキーの日」のキャンペーンで、「ポッキーチャレンジ」というものがありまして、たった1日で約2万3600本の動画が投稿されました。広告なのに、特定の商品に関して自ら進んで投稿してしまうといった事例は今までなかったと思います。インフルエンサーだけでなく、友達など自分に近い人が投稿することで連鎖が起きる。消費者自らが投稿したくなるようなフォーマットを作ったという点で、TikTokは革命的な広告手法を見いだしたといえるでしょう。

一般の人が「自分も乗っかりたい」と思えるような音声や動画を意図的に作り出すのは難しいと思うんです。当たれば他の媒体では獲得できないような広がり方になりますし、外れればお寒いキャンペーンになってしまいます。