僕の女性観が変化した瞬間
【原田】落合くんは、収入さえ確保できれば奥さんは専業主婦でも共働きでもいいわけだね。逆に曽我くんは、奥さんも自分も同じぐらい働く生活がしたいと。岸田さんの写真を見る前からそう思っていたの?
【曽我くん】以前は、奥さんには家で子育てしてほしいと思っていました。でも大学でサークルに入ったら、頭がよくてリーダーシップもある女性がたくさんいて、考え方が変わったんです。性別に関係なく人として憧れるし、こんなにかっこいい人たちが社会で活躍しないのはもったいないなと思うようになりました。
【原田】女性観が変わったんだね。今はそういうかっこいい女性も増えているから、曽我くんと同じように考える男子も増えていくのかもしれないね。逆に落合くんのように、稼ぐ自分と専業主婦という形をアリと考えている男子も依然として存在する。そう考えると、「男は仕事、女は家庭」の時代に比べて、女性の選択肢はより広がったと言えそうだね。
今回参加してくれた女子2人は、専業主婦になりたくないという点では同じでも、その中身は「共働き派」と「そもそも結婚しない派」に分かれました。ただ、彼女たちの周りでは結婚しない派は少なく、結婚後の形としては、大学生では共働き志望が多く、高校を出てすでに働いている若者では専業主婦を希望する人も多いように見受けられました。
さらには、Z世代では専業主婦像にも変化が起こっているようです。玉の輿に乗ってぜいたくに暮らす、あるいは夫の収入が上がるよう支えるといった主婦像は姿を消し、頑張らなくても手に入る範囲の収入で「ほのぼの、まったり」暮らす生活をイメージしている様子。これは、日本人全体の給与が下がりつつある今、ある意味現実的な考え方とも言えるかもしれません。
では、若い女性の共働き志向やまったり主婦志向は、結婚後の生活にどんな影響を与えるのでしょうか。次回からは、家事分担のありかたなどについて若者の意識を探っていきたいと思います。
構成=辻村洋子
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。