コロナ禍で一般の人にもリモートワークが普及
カオナビHRテクノロジー総研が緊急事態宣言発令中の5月上旬に調査した「リモートワーク実態調査レポート」によると、首都圏でのリモートワーク実施率は「毎日リモートワーク」(29.8%)と「週2~3日出社」(22.4%)を合わせて半数以上がリモートワークをしていた。
業種別に見るとIT・インターネットが突出して高く、「毎日リモートワーク」(52.0%)が半数を超え、「週2~3日出社」(16.4%)を合わせると、約7割がリモートワークを実施している。その後に金融、通信・インフラと続く。
一方で会社の規模別に見ると、規模が大きいほど実施率が高くなり、5000人以上では「毎日リモートワーク」(26.0%)と「週2~3日出社」(23.4%)を合わせ約半数となっている。
「“郊外で家を買って、週に1・2回、都心に出てくる働き方が普通にできる”。“満員電車に乗って出社していたのは一体何だったんだろう”と実感した人も多いでしょう」(藤川さん)
資産1億円を持つ女性はいち早く地方移住を検討!?
東京中心部の不動産価格はここ数年で大幅に上昇した。しかし、郊外や地方では、「上昇していない」あるいは「値下がりしている」地域もあり、余裕のあるマイホームを手に入れやすい。高収入の女性たちの間では、コロナ以前からリモートワークが広がりつつあったから、コロナ禍で世の中一般にリモートワークが広がり始めたとき、いち早く「郊外で暮らすこと」を検討し始めた可能性がある。
郊外への脱出は、静かに進んでいる兆しがある。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、20年5月の東京都からの転出者は2万3594人で転入者の2万2525人を1069人上回った。転出超過になったのは、約7年ぶりだ。そして7月には、転出超過が2522人まで増加している。
付加価値を提供する仕事ほど自由度が高い
なぜ、高収入な人ほど、リモートワークに移行しやすかったのか。
「高収入の人には付加価値を収入につなげている人が多いので、場所に縛られずに仕事ができるのです」(藤川さん)
以前の記事(「資産1億円以上のお金持ち女性に学ぶ「稼ぐ人に突出している2つの能力」とは」)では、外資系金融機関のファンドマネジャーやアナリスト、外資系コンサルタントなどに「高収入タイプのお金持ち」が多いことを紹介した。彼女たちは、まさに自分の能力を付加価値として提供しているタイプだ。評価の対象は「成果」なので、満員電車で現場に行かなくても事足りる。
一方で派遣社員など「時間」を提供しているタイプは現場にいることが重要になるので、リモートワークがしづらい。いずれの仕事も社会にとっては重要だが、収入だけでなく、働き方においても違いが生じやすくなっているわけだ。
「すでに箱根や湘南地区に移住した人もいます」と藤川さんは指摘する。
高収入タイプの女性たちの間では、今後、郊外や地方で暮らしながら、週に1、2回都心部に出社するスタイルも普及するかもしれない。