日本の子どもの7人に1人が貧困
厚生労働省による2019年国民生活基礎調査によると、日本における「子どもの貧困率」は13.5%に上ります。7人に1人が貧困状態にあるのです。母子家庭など、シングルで子育てをしている世帯では48.1%に上ります。この記事を読んでいるみなさんは、その割合の高さに驚かれるかもしれません。
「子どもの貧困」というと、食べるものもなく痩せ細った途上国の子どもたちを思い浮かべ、家や日々の食べ物にも事欠く「絶対的貧困」を指すと思っている方もいるかもしれません。しかし、ここでいう貧困は、「相対的貧困」です。中間的な所得の半分(等価可処分所得中央値の半分)に満たない家庭で暮らす子どもたちのことを言います。最新のデータでは、2018年で4人世帯では年収253万円以下の世帯が該当します。
「相対的貧困」に含まれる子どもたちは、見た目ではわからないことも多いです。しかし、飢えることはないとしても、お腹いっぱい食べることができなかったり、肉や野菜といったおかずなしで炭水化物に偏った食事、たとえば、安い乾麺に味をつけたものばかり食べていたりすることもあります。ランドセルを用意することができない家庭もありますし、新しい体操服が買えず、小さいものを我慢して着続けてみじめな思いをしている子どももいます。
時には、それらが原因でいじめられたり、不登校になったりすることもあります。合宿費が用意できず部活を辞めざるを得ない子もいます。ケガをしても、自己負担の3割が払えないので医療機関にいけない子どももいます。日本のほとんどの子どもが当たり前と思っていることができない。それが、貧困の子どもたちの現状です。
生活が困窮する状態は自己責任か
これまで自分で努力をして受験戦争を勝ち進み、誇りを持って仕事をしている方や起業をしている方、経営者として成功している方にとって、ご自身がそのような状況に陥ることをイメージすることは難しいでしょう。中には、「今、安定した生活を手にできているのは、これまでの自分の努力の成果。収入が不安定な仕事に就いていたり、失業したりしている人は、本人の努力が足りないから」と思う方もいるかもしれません。
しかし、そもそもその競争のスタートラインに立つことができない人もいます。努力をしようにも、勉強する資源も環境もそろっていない子どもも多いのです。競争に負けたからと言って自己責任とは言えないのです。
例えば、夫が突然亡くなったらどうでしょうか。非正規で勤めていた会社から、突然契約を解除されたらどうでしょうか。私たちの人生は、新型コロナウイルスだけでなく、さまざまな要因により状況が一変することがあるのです。