超合理的なインド系だが、かけるところはかける
6歳になった子供の友達はインド人家庭が多いのですが、ママもいわゆるGAFAMで働いているなどのキャリア系の共働きカップルが多いのです。ヨーロッパのボーディングスクールを出ている人も多く、育ちはかなりよさそうです。ただ、インド系はかなり資産を持っている人もお金にはすごくシビアなので驚かされます。
ある友達はカフェには絶対に入らずにいつも無料ラウンジを使っていました。現在はコロナ禍のため、ラウンジ等の無料利用が難しいのですが、一緒にスタバに入ってまさかのノーオーダーのこともありました。常に水筒やミネラルウォーターのボトルを持ち歩き、映画に一緒に行った際に私が飲み物を買おうとしたら私の分まで差し出してくれました。あまり財布を開いているところを見たことがなく、最初から決めていて必要がある物を買っているところしか見たことがありません。
ただ、インド系もいつもケチなわけではなく、かけるべきところにはお金をかけます。例えば、食べ物です。子供にはよい食事を与えたいということで、おやつには高級なオーガニックのチョコレートを与えるなどしています。高価なブランド品は持ちませんが、中古は着ないなどこだわりもあるようです。また、贈り物にシルバーのドア飾りをくれるなど、本物派です。とにかく消耗品や衝動的な買い物にはお金をあまりかけずに、食事、子供の教育費、生命保険(ただし定期保険)、住居、資産としてお金や銀、体験などにはお金を使ってもよいと考えているようです。
中華系との違いは見栄やメンツによる消費は一切ないということです。インド系の富裕層はよほどの大金持ちを除いてはブランド品で着飾るより、生地の良いサリーや地元で買った洋服などを着ている人が多いです。見た目や流行よりも素材の質などを重要視するようです。
二つの民族から日本人が学べることとは
倹約上手な中華系とインド系ですが、実は仲良くしているグループをあまり見たことがありません。以前に学校のクラスのパーティーでインド系のママたちが仕切っていて、中華系が手伝っていた時のこと。インド系はきっちりマニュアル通りやりたいし、数が割り切れないとパニックになるようです。他方で中華系は大らかなので手順通りではなくても気にしません。インド系のイライラが伝わってきました。私も子供の数だけバナナなどを持って行かなかった(といっても他のフルーツを持ってきていて好きなものを選べるようにしていた)ので、追加で買って来るなど大変なことになりました。「全員がバナナを食べるのかな?」という疑問もあるのですが、それ以来、どんなに余ってもクラスの人数分以上の食べ物を持参するようになりました。
中華系も中華系同士、しかもABC(アメリカ生まれの中華系)とメインランドチャイナ出身者とでも微妙な関係性があるようです。インド系もインド系で集まります。インド系も欧米育ちや長い間外に出ていると欧米人に近いかなという感触も持ちます。クッション役のような日本人はどのグループの中にも入れるというメリットがあります。
さて、中華系とインド系から学ぶお金を貯めるコツとしては目的意識を持つということでしょう。中華系は見栄のため、インド系は実利のためと目的は違えど無駄遣いはしません。最近、両方から学んだ私が取り入れている節約の方法としては、「お金を増やしてから欲しいものを買う」ということです。最近は株価が非常に堅調なのですが、欲しい商品と欲しい株とを天秤にかけるのです。そうしたところ、1万円などのちょっと欲しいけど不要な物を我慢して、株を買うという行動を取れることが多かったのです。外国株は1万円程度から一単位が買える物が多いですが、日本でも、ひな株(単元未満株取引)があります。例えば、大和証券グループでも「CONNECT」というアプリを2020年7月からスマホ向けに開始しました。無駄遣いをやめて、投資をするので、たとえ株価が下がって一時的に元本が減ったとしても無駄遣いをするよりよかったのではないかと思うこともできます。
私は1~2年分程度の生活費は現預金にしていて、カードなどの決済口座とは分けてプールしているのですが、それ以外は株式やETF(上場信託投信)で運用をしています。将来お金が必要になった時に株などは換金をすればよいと思っています。そうすると、安易に売りたくないので節約しようという意識が働きます。また、普通預金にお金をたくさん置いていないので、リスクに備えて稼ごうという意識も高まります。これは私が中華系とインド系を見ていて考えたマイブームの方法です。よければ取り入れられるところを取り入れてみてください。
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外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。