シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。多文化、多民族のシンガポールでは世界中から人が集まります。子供のインター校ではアジア各国の富裕層が多く、特に中国とインドから来たお金持ちが集まります。今回は、人口的にも世界の多くを占める、二つの民族のお金の使い方についてお伝えします。
貯金箱にコインを入れる娘を見てほほ笑む母親
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Deepak Sethi)

メンツが命の中華系だが、普段はケチ?

娘を1歳の時にシンガポールに連れて来たため、3歳から現地のインターナショナルスクールに入れました。この学校は、メインランドチャイナから母子留学で来ている家族が多く、オリエンテーションなどで出会った中国系のママたちはブランド品で全身を飾っていました。親向けのクラスでは部屋が寒いこともあって、皆ショールを羽織っていたのですが、まるでスクールユニフォームのように皆がルイ・ヴィトンのショールを広げているのです。さすが長期間、7~10%経済成長を続けてきた国から来た勢いを感じました。

最近、中国のテレビドラマ「三十而已(Nothing But Thirty)」のあるシーンがSNS上で注目を集め、中国でエルメス熱が盛り上がっていると聞きます。主人公が、いわゆるセレブ妻の集まりにシャネルのバッグを持って参加した際に、他のメンバーがみんなエルメスのバーキンやケリーを持ってきていた。その後SNSに投稿された集合写真から彼女だけが切り取られていたのを見て、コネを駆使して3日でケリーバッグを手に入れる。そして次の集まりではそのバッグを持参し、仲間として認められるというシーンです。

インター校に娘を入れたばかりの私は、まさにドラマでシャネルのバッグを持った主人公ママの気持ちだったのです。これはまずいのではと思い、ブランド品をいくつか買ってしまいました。田舎から東京の青山学院大学に上京して来たときも同じことをした記憶があります。

後から気づいたのですが、こうしたブランドを持っている人の多くはメンツからくる一点豪華消費をしているだけで、普段は非常に質素倹約生活を送っているようでした。学年が進むに連れて、ごく普通の家庭も学校に増えてきて、かえって自分の方が派手で恥ずかしくなってきました。結局、ブランドのバッグの多くを現地の中古ブランド品売買サイトで売却しました。もともとセールや中古で半値で買っていたので、手数料を差し引く前の価格はほぼ同じ額で売却できた品物も多かったです。ほとんど使っていなかったのと、損切りが早くてよかったと思いました。ついでにOL時代に買い集めていたケイトスペードのバッグたちもかなりいい値段で売れました。私が売ったバッグを仲がよい友達が中古で買ったと持っていたので驚きました。中華系は、このように工夫をして着飾るのだと思わされた出来事でした。