司令塔のちぐはぐな指示で被害は爆発的に拡大

また、司令塔であるべきWHO(世界保健機関)の指示が矛盾だらけであったことも、被害拡大につながってしまいました。

たとえばWHOのテドロス事務局長は4月、各国からの批判に対して「世界はWHOの警告に耳を貸すべきだった」と反論しています。その根拠として「WHOは新型コロナが世界に蔓延する前の1月30日時点で“国際的な公衆衛生上の緊急事態”を宣言していた」と言っています。

それは確かにそうですが、残念ながら私たちは、テドロス氏のこんな発言も、しっかりと覚えています。「マスクは不要」「人から人への感染の可能性は低い」「入国拒否など人の動きを止めるべきではない」「緊急事態に当てはまらない」「中国から外国人を避難させることを勧めない」「渡航や貿易を不必要に妨げる措置をとるべきでない」「新型ウイルスは致命的ではない」……。

さらにイタリアで初の感染者が確認されたのが2月21日、ニューヨークは3月1日で、そこから信じがたいペースで爆発的に感染者数・死者数が急増していったのに、パンデミックを宣言したのが3月11日。たかだか10日、20日に見えますが、猛烈な速度で欧米の死亡者が急増する非常時に、無策のままの10日、20日は、体感スピードとしてはあまりにも遅いものに感じられました。