社員の幸福度は会社の業績に影響する

なぜ、リーダーはそこまでしてメンバーの幸せを考える必要があるかと思う方もいらっしゃるでしょう。その理由は、【図表2】の通りです。社員のはたらく幸せ実感は個人のパフォーマンス、組織のパフォーマンス、そして最終的には企業業績に影響するのです。

はたらく幸せ実感と企業業績の関係(出所:パーソル総合研究所×前野隆司研究室「はたらく人の幸せに関する調査」)
はたらく幸せ実感と企業業績の関係(出所:パーソル総合研究所×前野隆司研究室「はたらく人の幸せに関する調査」)

会社のスタンスもリーダーシップも、二極化する

今のような苦しい時、あえて新しいことに果敢にチャレンジする人と、危機が去るのを待つだけの人、この2つのタイプがあると思います。私は、この2タイプの人たちの結果は、明確な差となって表れるだろうと考えています。

組織の場合も同様です。とくに会社や組織は、さまざまなもので守られていることが多いですから、古い気質の会社が何も変わらないまま、ずっと存続している場合もあります。

過去の、例えば高度経済成長期のような時代であれば、部分だけを見ていれば安泰でした。テレビが売れる時代には、テレビの部品だけを作っていればよかったのです。ところが今はどんなものが良いのか、誰にもわからない時代です。そのような時代に「いや、私は半導体だけを作っていますから」とは言えません。高いところから広い視点で見渡し、何がどう流れ、どう去っていくのかを見極めることが大切です。

そうして皆で決めたビジョンをチーム全体で共有してこそ、メンバー全員が、ビジョンに向かって、同じ方向を目指せるのです。そしてそのことがメンバーのはたらく幸せ実感を高めます。